前日までのヘルシンキとは違い、暖かな日差しの中、ミラノでの視察が始まりました。ミラノの視察の目的はインクルーシブ教育の実際を見ることにあります。実は、イタリアには大阪のような支援学校はありません。障がいのあるなしにかかわらず、すべての子どもたちが同じ教室で同じように生活をすることが法律で定められています。
まず訪問したのは視覚障がいのある生徒が通うヴィヴァイオ中学校です。ここは視覚障がいのある人のための教会の中にある学校です。インクルーシブ教育は、障がいのある子どもが支援学校ではない学校に通学し、共に教育を受けるというイメージがありますが、当校の校長が「逆インクルーシブ教育」と言うように、視覚障がいのある生徒が通う学校に障がいのない生徒が希望して入学するというシステムをとっています。
この学校は全人教育として音楽教育に力を入れ、その業績は高く評価されています。そのために、この学校への入学を希望する障害のない生徒がたくさんいます。今年度は、障がいのある生徒60名が入学を希望し、適性検査と面接を受け15名が合格しました。また、障がいのない生徒も60名の募集に400名が入学を希望するなど、たいへん人気のある学校です。指導体制も確立されており、各クラスに教科担当の教員1名と支援担当教員1〜3名が教室に入り、支援の必要な生徒を指導しています。
支援教材や教具の豊かさに驚かされるとともに、生徒たちの明るい笑顔がとても印象的でした。
(大阪府教育センター 教育課程開発部長 蛭田勲)