今朝も快晴のミラノ。初夏を思わせるような天気が続いています。
今日はマルコン高校を訪問しました。この高校は、理科系と語学系の2つのコースをもつ5年制の学校(イタリアでは小学校から高校2年までが義務教育)で、770名の生徒のうち、障がいのある生徒が29名在籍しています。教員は83名で、そのうち支援教員が14名。クラスに1人でも障がいのある生徒がいると支援教員が授業に入ります。1クラスの人数は22〜26名。障がいのある生徒がいる場合は1クラス25名を超えてはいけないことが法律で定められています。また、支援教員がカバーできない場合には支援員が指導に当たっています。
この学校の支援教育の特長は、入学後2ヶ月の間に高校卒業資格の取得が望める生徒かそうでない生徒かをみきわめ、その結果に基づき個別の指導計画を立てるそうです。現在29名の障がいのある生徒のうち8名が高校卒業資格をみこめるとのことです。
支援の必要な生徒への指導については、常に卒業後の生活をみすえて指導しています。高校3年以降は、特にキャリア教育を強化しており、薬品会社やIT関連会社、エコロジー会社等地域の企業と連携し、様々な体験活動を通して潜在能力を引き出すような取組みを実施しているとのことです。
イタリアでは、障がいも個性の一部として当然のものとして受け入れています。イタリアには支援学校はありません。すべての子どもに同じ教育環境が保障されるインクルーシブ教育が進められています。それゆえ、一人一人の個性や能力に合った指導を教員が組織的に開発し実践しているところに強い感銘を受けるとともに、授業づくりにおけるユニバーサルデザインの観点からもたいへん参考になりました。
長いように感じられたフィンランドとイタリアの視察の旅も、いよいよ明日が最終日となり、レポートもこれが最後となります。この1週間で学んだ知識を今後センターの研修等を通して学力向上や支援教育の改善にフィードバックしていきます。ありがとうございました。
(大阪府教育センター 教育課程開発部長 蛭田勲)