校長 片山 造
シラケ世代とも言われる1970年代の若者気質をあらわした「三無主義(無気力・無関心・無責任)」という言葉がある。戦後の高度成長期が終わり、世の中にゆきづまりをみせ始め、なんとなく無力感が漂っていた時代にそんな言葉が生まれた。
闇から輝きへ、そして無関心から行動へ。感情がなければ変換など起こりえない。
これはスイスの精神学者であり心理学者でもあるカール・グスタフ・ユングの言葉。無関心は時として、人の闇の部分と他者に対する感情の起伏の欠如をつくりだす。実は「無関心」は、嫉妬や憎悪をこえた(人間の持つ最も恐ろしい感情)である。しかし一方で、人は相手の感情や気持ちをわかったうえで無関心を装うという優しさも兼ね備えている。
言葉は変化していく。「三無主義」はその後、無感動と無作法が加わり「五無主義」という言葉が生まれた。最近では、そこに無思想と無根拠が加わっているような気がする。
数年後、2020年を過ごした若者は「コロナ世代」と呼ばれることになるだろう。どんな定義づけがなされるのかは、今後のあなたたち次第である。