面接練習にて

校長 片山 造

「あなたの好きな言葉は?」なんて質問は(今は✖だが)昔の面接では定番の質問だった。その質問に対し、「一期一会(いちごいちえ)」と答えたり、「努力は必ず報われる」と答えたりしながら受験生は自分をアピールするのだ。

10年ほど前、ここ福泉高校で私と生徒数名が放課後の教室で面接練習をしていた時のこと。ある女生徒の答えに、一緒に面接練習をしていた他の生徒たちの動きが一瞬止まった。その女生徒は「あなたの好きな言葉は何ですか?」という質問に「流れる」と答えたのだ。それはどんな意味ですか?思わず面接官役の生徒が聞いた。彼女は微笑むばかりで、ついにその質問には答えてくれなかった。本番ではその質問も出ず、彼女は見事に第一志望の企業から内定をいただくことができた。あの時、彼女は何を思い「流れる」と答えたのだろうか?今となっては分かる術もない。

当時を思い出しながら、今、言えることは、(私自身が現在、何かにつけて流されっぱなしであるという事実だ!)彼女は私が将来、福泉高校でこの言葉を思い返すことを予見し何かを教示してくれていたのかも知れない。