校長 片山 造
本日10時より本校体育館において、保護者・教職員参列のもと、第36回福泉高等学校卒業証書授与式が挙行されました。証書授与に際し、担任の先生から呼名され、嬉しげに胸を張り「ハイ」と返事をする生徒たちの姿が誇らしく印象的でした。第2部では、卒業生が(3年5組 山名柚花さんの)ピアノの演奏にのせ、卒業の歌「遥か」を歌いあげました。最後に「思い出のスライド」上映⇒各HRでの証書授与・記念品贈呈等があり、第36期生が福泉高校を巣立っていきました。これからは、それぞれに与えられた場所で活躍を期待しています。卒業生諸君!合言葉は、もちろん【とことん!】です。
(以下、卒業証書授与式 校長式辞)
本日ここに高等学校の全課程を修了され、晴れて卒業の日を迎えられた皆さん、ご卒業おめでとうございます。ただいま、190名の皆さんに、その証として卒業証書をお渡しすることができ、うれしく思っています。改めて、皆さんのこれまでの努力を讃えるとともに、心からお祝い申し上げます。保護者の皆さま、お子様のご卒業まことにおめでとうございます。心も身体もたくましく成長されたお子様の姿に、皆様の胸にも熱き思いがあふれていることと存じます。
今年度は、世界中が新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。学校が休業になり4月に1回目の緊急事態宣言が出されました。今までの(あたりまえ)が(あたりまえ)ではなくなりました。そして、6月、分散登校のカタチで学校が再開されました。教室に生徒たちの元気な声が響き生徒を迎える先生方のよろこびも伝わってきました。そんな風景に触れた時、「ああ、学校ってほんとに素晴らしい場所だなぁ」と私自身、改めて思いました。
先が見えない状況は今もなお続いています。一日も早くコロナ禍が終息し、社会そして学校に日常と笑顔が戻ることを期待するばかりです。
卒業にあたり、ひとつの話とひとつの詩を贈ります。まずは、ひとつの話。アメリカのアイオワ州立大学でおもしろい生物学の実験がおこなわれました。それは、小さな木箱に一本のライ麦の苗を植え、水をやりながら数カ月育てるというもの。すると、四カ月後には実もあまりついていないひょろひょろとした1本のライ麦が育ちました。それを木箱から取り出し、その根っこをすべて繋ぎ合わせ長さを測ったところ、なんと、その長さの合計は、ほぼ地球の直径に相当する一万一千二百キロメートルに達したというのです。この話より、命を支える営みがいかに(素晴らしく)(尊いもの)であるかがわかります。
「命の根っこを伸ばしながら懸命に生きていく」
人にはそれぞれ(命の根っこ)があります。そして、その根っこは日々、その人の努力と周囲の応援の中伸びていきます。みなさんには、大地にしっかりと根を張り、福泉高校の卒業生として誇りをもちながら、これからの人生を歩んで欲しいと思っています。
次にひとつの詩。『人間失格』『走れメロス』を書いた太宰治さんの「生活」という詩です。私自身、時折、思い出し(ホッ)と一息、肩の力を抜くとともに勇気をもらえるそんな詩です。この詩は、働くとは?生きるとは?そして自分とは何かについて、考えさせてくれます。6行からなるとても短い詩です。余すことなく感じ取ってください。
「生活」 よい仕事をしたあとで/一杯のお茶をすする/お茶のあぶくに/きれいな私の顔が/
いくつもいくつもうつっているのさ/どうにか、なる。
皆さんを応援しています!卒業おめでとう!これを贈る言葉として、私からの式辞といたします。
令和3年3月2日 府立福泉高等学校長 片山 造