校長 片山 造
桜舞い散る中、第39回大阪府立福泉高等学校入学式が挙行されました。新しい仲間を迎え歓びあふれる学校、そして新入生とそれを見守る保護者の方の晴れやかな姿が印象的でした。また、在校生が作成した飾りつけが入学式にいろどりを添えてくれました。ありがとうございました。
以下、式辞の中で紹介させていただいた中原中也の詩とともに、入学式の式辞を掲載します。
(学校長式辞)
桜の花が舞い、心地よい春風が吹いています。日々新型コロナウイルスの感染再拡大が報じられる中、本日ここに、令和3年度第39回大阪府立福泉高等学校入学式が盛大に挙行されますことを、心より感謝申し上げます。
ただいま入学を許可しました大阪府立福泉高等学校第39期158名の新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。福泉高校の教職員・生徒を代表し、みなさん一人ひとりに心よりお祝い申し上げます。福泉高校でこれから学ぶ皆さんのスタートにあたり、ひとつの言葉を贈らせていただきます。
みなさんには「夢や目標、そしてそれを支える自分をもって欲しい」。ある詩(の一部)をご紹介させていただきます。中原中也という詩人が(吹く風を心の友と)という詩を残しています。その詩の最後の一行に「僕は努力家になろうと思うんだ」とあります。人にはそれぞれ、憧れる職業や将来なりたいものがあります。みなさんが高校入試で書いた「自己申告書」を読ませていただきました。そこには、中学校時代に頑張ったこと。将来は(パフォーマー)(ネイリスト)(調理師)など自分がしてみたい職業が書かれていました。
「(努力家になる)という決意や覚悟、これはなかなか言えるものではなく尊いことです。自分はこんな仕事に就きたいと思う前に、実はもっと大切な自分の芯になる(日々、自分がどうあるべきか)を教えてくれる、そんな詩でもあります。
皆さんには、これから訪れるであろう大切な時に大切な人に(自分の言葉で、自分の気持ちを伝えることができる)そんな大人になってほしい。そのために、ここ福泉高校で大人になるための(種をまき)思い思いの(花を咲かせて)ください。我々、福泉高校の教職員は皆さんのそんな姿を【とことん】応援します。
保護者の皆様、本日は(お子様)のご入学おめでとうございます。
今日まで応援し続けられた保護者の皆様にも、本日は喜ばしい日であると存じます。高校時代は、人生において大人への一歩を踏み出すとともに多感で悩み多い時期でもあります。保護者の皆様、どうか温かいご支援とご協力をいただきますようお願いいたします。
本日、ここ福泉高校に入学したみなさんの限りない可能性を祝し、式辞といたします。
令和3年4月8日
大阪府立福泉高等学校長 片山 造
(吹く風を心の友と)
吹く風を心の友と
口笛に心まぎらわし
私がげんげ田を歩いていた十五の春は
煙のように、野羊(やぎ)のように、パルプのように、
とんで行って、もう今頃は、
どこか遠い別の世界で花咲いているであろうか
耳を澄ますと
げんげの色のようにはじらいながら遠くに聞こえる
あれは、十五の春の遠い音信なのだろうか
滲むように、日が暮れても空のどこかに
あの日の昼のままに
あの時が、あの時の物音が経過しつつあるように思われる
それが何処(どこ)か?――とにかく僕に其処(そこ)へゆけたらなあ......
心一杯に懺悔(ざんげ)して、
恕(ゆる)されたという気持の中に、再び生きて、
僕は努力家になろうと思うんだ――