校長 片山 造
「私がやっとることは、別に他の人でもできんことではないと思うよ。みんな、する気がないからできんのじゃない。」これは、以前「福泉だより」で紹介した、元保護司(ばっちゃん)こと中本さんの言葉。中本さんは、親や社会から構われなくなった子どもたちを自分の家に招き入れ、食事をふるまう。
8年の長きにわたり取材をしたNHKディレクター伊集院さんは、ばっちゃんのと子どもたちの会話について(子どもの心の中で積み木をしているような会話)と話されている。積み木を積む作業は、神経を使うと同時に集中力を必要とする。気を抜けば、すぐに崩れ落ちてしまう。ひとつずつひとつずつ、丁寧な寄り添いが必要である。さらには(子どもの心の中で)とある。これまで関わってきた大人たちが積み上げてこなかった積み木(学びや教え)を中本さんは厭うことなく積んでいく役割を果たしている。
世の中には、(かなわないなぁ)(真似ができないなぁ)という人がたくさんいる。そんな人たちの背中を追いながら、自分に残せるものは何なのかを考えていきたい。