人として認められる歓び

校長 片山 造

 人は時として、相手が話をしている途中で、言葉の先読みをして、次の言葉を遮ってしまうことがある。先生という職業はその典型で、一方的に生徒の言葉や思いをねじ込めてしまうことがある【自戒】。

 相手の話を聞く際、①「はい(そうですね)」「なるほど」等の同調系②「そうなの?」「何それ?」等の疑問系の2つに分けられる。①と②を混ぜながら話をすることが多い。

【話し方を変えるだけで、生徒の自分を見る目が変わったという話】

 初任者研修で、カウンセリングマインドについて話を聞いた。生徒と話をする時、必ず傾聴の姿勢で、複数で、記録も残しましょうetc...。私はと言えば、いつものように(それがどうした)と話半分で野球部の練習メニューを考えていた。すると、突然、講師の先生の大きな声が耳に飛び込んできた。それは「へーっ」(大きいうなずき)「えーっ」(大きい驚き)。

耳にこびりついて離れなかったので、学校に帰り、相談に来た生徒にさっそく試してみた。

生徒の言葉に「へえーっ」と身を乗り出してうなずき、「えーっ」と少し大げさに驚く。すると、生徒はいつもとは明らかに違う反応で、スラスラと自分の言葉で話をしてくれた。

そして、「先生、話を聞いてくれてありがとう。また話聞いてね。」と帰っていった。

 自分の話に興味を持って聞いてくれている。⇒自分は受け入れられている。=人として認められている。そんなことだったのかも知れない。研修で学ぶこともあるもんだと思った瞬間だった。