点数の話

校長 片山 造

 学校のテストの話。先生は答案返却後、必ずクラスや学年の平均点を告げる。クラスはその言葉に一喜一憂する。そして、自分の点数が平均以上だと、なぜだか(ホッ)とする。このやりとりは一体なんなのだろうか?「平均点」とは、(点数の総和を人数または単位項目の数で割って得られた点数。)であるだけなのに...。

 中学3年生の時、社会科の定期テストでヤマが大当たりし、クラス最高点を取ることがあった。その話は他の先生にも知れるところとなり、教室や廊下で先生方から「何かあったか」「これからも頑張れよ」と声を掛けられた。悪い気はしなかった。勉強で褒められたことは少なかったので、気恥ずかしさの中にもうれしい気持ちでいい気分だった。

 そんな時、学校の帰り道、公園のベンチでいつも一緒に帰っている友達から思いもかけないことを言われた。「おれは、毎日、5科目を各1時間、計5時間勉強している。ちゃちゃっと勉強した片山に負けた自分が許せない。」彼は学年で常に1位2位の成績を残していた。(そんなに勉強していたのか)驚きとともになぜだか申し訳ない気持ちになったことを覚えている。

 高校に入り、テストの点数を気にすることはなくなった。それは、ある先生の言葉によるところが大きい。それは、まさにこれからの時代を照らし出す言葉であるように感じる。

(答案返却後、先生はこう言った)

 今まで習ったことを確認するテストで100点を取るよりも、あえて正解がない問題で120点を取ることをめざしなさい。