エール受けとりました

 初めて勤務した北海道の田舎の学校でのこと。日頃の不摂生がたたり、高熱を出して寝込んでしまうことがあった。病院で処置をしてもらったが熱が下がらず、クラスが気がかりだったが、メモを残し、家で療養することになった。

 住んでいたアパートは学校のすぐ前だったので、チャイムの音や校内放送がよく聞こえた。熱にうなされながら、聞くとはなしに聞いていると、「○年△組の〇〇さん、プリントを持って職員室に来てください」、「〇年△組の△△さん、担任の先生から聞いている当番があるので忘れないように」...。そのうち、(あれっ、おかしいな?)と思うようになった。それは、放送の内容が自分のクラスに関係していたり、先生方にメモでお願いしたりしているそんなものばかりだったからだ。布団をかぶりながら、感謝とともにもどかしい気持ちでいっぱいになった。

 お昼休みに入り、学校から流行りの音楽が聞こえてきた。お昼の時間は放送局の生徒が担当し、おすすめの曲や生徒からリクエストされた曲を流すことになっていた。お昼休みも終わりをむかえ、「これでお昼の放送を終わります」と担当生徒が言っている後ろで、「片山先生大丈夫かなぁ、どうしてるかなぁ」ともれ聞こえてきた。

(うれしかった)その瞬間、確かにエール受けとりました!むっくりと起き上がり、(はやく学校にいくために)えづきながらも(ガツガツ)ご飯を食べた。

 次の日、嘘のように体調は回復し、職場に復帰することができた。そして、いつもより大きな声で、心から「おはようございます」と言えるそんな自分がいた。

 先生方や生徒たちのいつもと変わらない、そんな態度も嬉しく感じられたことを覚えている。