節分

 雪の降りしきる2月のある朝、教室に入ろうとしたら、鬼のお面が置かれていた。教室の中は心なしかいつもより静かに感じられた。私は(ハイハイ、来たな)と思いながら、おもむろにお面をつけ、いつもより大げさに教室のドアをスライドさせた。

 次の瞬間、一斉に私に向かって豆が飛んできた。痛い!床に落ちている豆をみて驚いた。なんとそれは殻のついた(落花生)だったからである。北海道では、豆と言えば(落花生)をまくという習慣があるらしい。雪が積もった外に向かって豆をまくことをしないのだ。さらに、「福は内、鬼は外」という掛け声が、北海道では「福は内、福は内」と鬼が出てこない。すてきに感じたので、それ以来、「福は内」と家の中で豆をまくことにしている。

 節分になると、少しばかりの痛さとともにそんな懐かしい出来事が思い出される。