本気とは

 小学生にもなれば、これをしたら先生から(ほめられる)ということは何となく理解できるようになる。例えば、「黒板を消す」「ごみを拾う」「給食の片づけをする」、さらには「先生の手伝い」なんて効果的かも知れない。教師になって、ある生徒から(本気とは何か)身をもって教えてもらった。そんな話を書きます。

 「真の掃除とは」

 初めて担任を持ったクラス、1年B組のTさんの話。Tさんは、やることなすことすべて(ちゃらんぽらん)で中途半端。そんなTさん、なぜか黒板消しに関しては、一切の妥協はなく完璧だった。日頃、おしゃべりなTさんだが、この時ばかりは黙々と黒板に向かい黒板消しに勤しむ。そして、終了後、お決まりのポーズは、丸めたティッシュを鼻に入れ(くるり)とひと回し。そして、白・赤・黄色...チョークの色が混じり汚れたティッシュを人に見せるというもの。その姿が、あまりにも格好良かったので、見とれるばかりで(ほめること)もしなかったのを思い出した。もちろん、彼女が黒板をぴかぴかに磨いたのは、私にほめてもらうためではなかったのは明白である。

 (あたりまえのことだが)先生は生徒に教えるだけではなく、(それ以上に)生徒から人間として大切なことや(本気)とは何かを学んでいく。

 この前、校長室の大掃除をした後、気がつけば(くるり)とティッシュを回していた。