授業の導入時に「忘れ物検査」をしていたことがある。出席確認⇒前回の確認小テストをしながら、机の上に置かれた忘れ物をチェックするという流れ。一連の流れができていたので、生徒たちの忘れ物率?も少しずつ下がっていった。そんな中、あるクラスで、ほぼ毎回、教科書や提出プリントを忘れてくるAさんという生徒がいた。そんなAさんが、ある時、ぐちゃぐちゃになった提出用のプリントをぐいっと勢いよく提示した。私は驚きながら「それは受け取れない。相手に失礼ですよ。」とAさんにつき返した。Aさんは残念そうに言った「昨日放課後、教室に残ってプリントを仕上げ、忘れないようにパーカーのポケットに入れそのまま寝た。」それを聞いて、(あっ!)と思った。そう言えば、昨日、授業の時に「捨てなければなくなることはない。忘れものをしない秘訣、それは肌身離さず持っておくこと。」と言ったことが思い出された。Aさんは忠実にそれを実践したのだ。健気な生徒の言動に厳格であり続けようとした自分が恥ずかしくなった。そして、改めてAさんからプリントを受け取り、二人でしわを伸ばしてその場で検印し、(次回からこのクリアファイルに挟んで提出!)とクリアファイルとともに返却した。「忘れ物検査」?なにか忘れることを前提としている言葉だなと今、気がついた。