1月8日（水）3学期始業式を行いました。
体育館に集まった生徒と教職員全員で校歌斉唱の後、校長式辞ということで、次のメッセージを伝えました。
令和元年度 第3学期 始業式 校長メッセージ
皆さん、おはようございます。そして、明けましておめでとうございます。今日、第三学期の始業式を迎えました。
今年のお正月は、令和に改元されて初めてのお正月になりましたが、皆さんはどんなお正月を過ごされたでしょうか。充実した冬休みになったでしょうか。
今年の干支（えと）は子（ねずみ）ということは皆さん知っているかも知れませんが、もう少し詳しく言うと庚子（こうし、かのえ・ね）という60年に1回廻って来る年になります。この庚子（かのえ・ね）の年というのは、継続と改革で、万事が繁栄する年といわれるようです。即ち、前年から良かったものである実績や成果などは継続継承し、良くなかったもの失敗や過ちなどは反省して洗い清め償い、新しい考えや方針のもとに思い切った改革をすることで、物事が増進、発展する年になると言われています。牧野高校もこれまでの良かったことは活かし、良くなかったことは改めて、一層良い学校にしていきたいと思います。
令和という元号は、万葉集の巻五にある「初春（しょしゅん）の令月（れいげつ）にして 気淑（きよ）く風和（かぜやわ）らぎ 梅（うめ）は鏡前（きょうぜん）の粉（こ）を披（ひら）き 蘭（らん）は珮後（はいご）の香（か）を薫（かお）らす 」から考案されたと言われています。その万葉集は、編者の大伴家持が編集を終えるに当たって、最後の一首として、「新しき年の始めの初春（はつはる）の今日降る雪のいや重（し）け吉事（よごと）＝新しい年のはじめの、新春の今日を降りしきる雪のように、いっそう重なれ、吉き事よ」という新年を祝う歌を据えています。一方で、この歌を歌ったのは地方である因幡（今の鳥取県）に大伴家持が左遷されていた時のもので、沈痛な感情の中でできたものでもあります。苦境の中で後世に伝わり賞賛されるような作品を作ったことは素晴らしいと思います。
三年生の皆さんの多くは二週間後に行われる大学入試センター試験を控えて、今まさに最後の追込み、苦境かもしれないが、感じ方次第では人生で最も充実した時を過ごしているのではないかと思います。そしてその先の、2月の私立大学の一般入試や、3月の国公立大学の二次試験まで、濃密な時を、自信を持って、決して弱気にならずに、しっかり最後までやりぬく、全力を尽くす、そのことが必ず次の夢に繋がると信じて、やり切ってほしいと思います。
西暦２０２０年の今年は、東京オリンピックが行われるオリンピック・イヤーでもあります。この東京オリンピックは、日本が、東日本大震災からの復興を世界に示す「復興五輪」と位置付けられていますが、このオリンピックへの出場を目指している選手の中に、昨年女子ゴルフで世界のメジャータイトルの全英女子オープンを制した渋野日向子選手がいます。プロになって１年目で海外での試合には初出場で優勝して一躍脚光を浴びましたが、彼女の特徴はバウンスバックの強さだと言われています。バウンスバックというのは、悪いスコアの後に直ぐにそれを取り返す力、復元力、回復力のことです。そして彼女のもう一つの特徴が、スマイリング・シンデレラと称された笑顔を絶やさないことです。苦境に陥った時に笑顔で乗り越える、笑顔でマイナスを取り返してプラスにする、そんな力を示してくれました。まだ21歳になったばかりの皆さんとは同年代とも言える人が、そんな苦境の乗り越え方を示しています。 三年生の皆さんも、笑顔で、高校3年間の集大成をしてもらえればと思います。
一、二年生の皆さんも、昨年はうまくいったことがあったと同時に、うまくいかなかったことがあったかもしれません。うまくいかなかったことについては、今年は取り返す、笑顔でバウンスバックすることを期待します。
今年、学校に他の年賀状とは違う手書きで校長への個人宛で一枚の年賀状が届きました。昨年3月に卒業した41期生からのものでした。「昨年は面接練習でお世話になりました。無事に国立の教育大学に入学して、真面目に頑張っています。ありがとうございました。」という自筆の添え書きがありました。昨年度の大学入試センター試験で失敗をしたものの、どうしても国立の教育大学に入りたいという強い気持ちを持って、面接練習で何度も頑張って、二次試験で逆転の合格を勝ち取った生徒です。面接の指導を時間をかけてしたのでよく覚えていますが、バウンスバックを果たして、夢がかなって本当に良かったと思います。皆さんの先輩にも、そんな人がいることを是非知っておいてもらいたいと思います。
今年、ここにいる皆さんが、笑顔で過ごし、笑顔で終われる一年になることを念じて、3学期始業式のメッセージとします。
令和元年一月八日 牧野高等学校 校長 日 笠 賢
