8月24日「選手権に向けて⑯」

自分という人間を考えた時に、一番出てくる事は、「中途半端」ということだ。
すごく熱中したらそれ一本になってしまう性格だと思う。
 
これまでも、イモリや亀の飼育、翡翠拾い、読書、ガンバ大阪応援、勉強、などなど、
様々なことに熱中した記憶がある。
 
しかし、それが続くことは一切なかった。
イモリも餌をあげるくらいだし、翡翠ももう拾いに行かない。
途中でやめてしまうから、中途半端になる。
 
自分で言うのも変だが、熱しやすく冷めやすいタイプなんだと感じる。
全てある程度のところまで行くと冷めてしまう。
何か一つのことを極めたことなんて僕のこれまでの人生で一度もなかった。
 
そんな自分が唯一趣味で続けてきたのが、サッカーであった。
 
続けてきたと言っても、小学校や中学校でも"飽きた"と思った事は何度もあったし、
友達が辞めたら自分も辞めていただろうとかその程度であった。
 
けれど、サッカーをしている間だけはそんなこと忘れて無心になれる。
 
そして、高校に入学した。
全く畷高サッカー部について知らずの状態で、入部体験に行って、
ここまでサッカーに本気に取り組んでいるのかと驚き、
その時の自分にはそれについていけるような気持ちもなかった。
 
かと言って、サッカーを辞めるなんて選択肢はなかったし、
周りの友達も入ると言っていたのでなんとなくで入部した。
 
そして、それまでほとんどお客さん気分で迎えた選手権3回戦大阪偕星戦。
先輩たちのおかげで会場で見ることができた。そこでの光景は忘れられない。
 
相手は、強豪私立。
自分達よりも技術も身体能力も上回っている相手に怯まず戦う姿。
先輩達は本当にかっこよかったし、自然と応援の声が出ていた。
しかし勝てなかった。
自分達の目標はそこで定まった。
 
そこから自分はポジションを変更したり、
トラップの基礎から見つめ直したり様々なことに取り組んだ。
 
そうしても、自分より先に取り組んでいた同期には到底追いつけずに
自信がなくなっていく一方であった。
 
そこで、一人の先輩が僕に声を掛けてくれた。
その先輩は僕に失っていた自信をもう一度持たせ、
自分の事を本気で応援し、色々なことをアドバイスしていただいた。
 
こんなにも先輩から精力的に教えてもらったことはなく、
その日から絶対このチームを勝たせて恩返ししよう思った。
 
しかし、74期の選手権の前に自分は怪我をしてしまった。
チャンスさえなかった。
先輩の終わりを見届けられず、恩返しも全くできなかった。
だか、おそらく怪我をしていなくても中途半端で終わっていたと思う。
その時の自分はただ良いプレーをしようと焦り、サッカー部にいる理由、
「楽しさ」という根本的な部分を見失っていた。
 
それから僕は、楽しさに焦点を当てるようになった。
楽しさとはなんだろう。
ただ単に、楽なことが楽しいのだろうか、いや違う。
 
みんなが声を出して最高の雰囲気の中で、挑戦して失敗をしながら成功する。
自分ができる事をやり切り、できないことは他人が補っていく。
そこに楽しさが出てくる。
楽しいと思えるから、また挑戦したくなる。
 
幸い、畷高サッカー部にはその環境を作れる最高のメンバーが集まっている。
僕は、高校時代にこの環境に出会えて本当に良かったと思っている。
こんな環境は大阪府の高校にはそんなにない。
 
そして、今僕たちは自分達の代の選手権を迎えようとしている。
これまで、全て中途半端で終わった僕にとっては最後の機会だ。
サッカー部で居られる日数ももう少ない。
 
これまでの代で成し得なかった、打倒強豪私立という目標を僕たちの代で達成させて恩返しする。
 
そして、次の世代にこれまで積み上げられて、積み上げてきたものを残せるように、
僕はこの人生の中でも貴重な時間を噛み締めながら過ごしていきたいと思う。
 
最後に、これまで応援してくれた保護者の皆様、OBの方々、先生方本当にありがとうございます。
僕達はこれからもこの環境を当たり前と思わずに精進していきます
選手権も応援よろしくおねがいします。
 
3年プレーヤーO
 
掲載:顧問山磨