名前(なまえ)

校長 片山 造(つくる)

先日の放課後、校内を巡回していると、先生の指導のもと生徒たちが面接練習をしていた。ふと黒板をみると、入退室の礼法説明とともに、いくつかの質問事項と答えが書かれていた。そのひとつに「校長先生の名前は?」というものがあった。

小学校の時、名前でからかわれたことを思いだした。私は、子供心にこの名前がとんでもなく嫌だった。名前を言うと、変な顔をされたり、笑われたりもした。グイッと存在を主張するのではなく、どこにでもあるようなそんな名前がいいなと思ったりもした。

小学4年生の時、担任の女の先生に「いい名前だね」とほめられた。「おやっ?」と感じた。先生は言葉を続けた。「どうしてその名前がついたの」。家に帰り、母親に初めて自分の名前の由来を聞いてみた。母曰く、「最初はよくある流行りの名前になるはずだったけど、祖父が反対したのよ。インパクトがないって...」。理由を聞いて驚いた。そして祖父らしいなと合点した。祖父は随分と前に他界しているが、生前は田舎の小学校の校長をしていたらしい。曲がったことが大嫌いで、晩年は、俳句とちぎり絵を趣味としていた。

 これ以来、わたしの名前には、祖父という応援団がついていると思っている。

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