校長 片山 造
高校時代、成績は総じて芳しくなかったが、その中でもとりわけ苦手とする教科があった。
それは「数学」である。先生の黒板に書く数式が、その解法が全く理解できない。定期テストは何とか覚え込むことで平均点はクリアできたが、学期ごとの数学教師が英知を結集し作成した実力テストはどうすることもできなかった。結果は「0点」。それが3回続いた。
先生から(校長室に来なさい)と呼び出しがかかった。校長室で袈裟(けさ)を着た校長先生が話をされた。「0点という点数には、無限の可能性が秘められています。」驚いた。
てっきり怒られるものとばかり考えていたところ、(無限の可能性)とは...。お茶と和菓子をたいらげ、エヘンと胸を張り校長室を後にした。
今考えてみると、妙な話だ。校長先生は私に何を伝えたかったのか?私は何を受け取り損ねたのだろう?今となっては謎である。
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