忘れられない授業(><)

校長 片山 造

 教師になったら、叶えてみたいことが3つあった。その1つが国語の教師として最高の授業」をすること(わたしがめざした)最高の授業とは、①ある文章や単元に向き合い、②教師と生徒が一体となり、③生涯忘れることのない感動を共有できた時に達成される。

その瞬間は教師4年目の冬、突然訪れた。私は生徒が読む前にお手本として、ある詩の朗読をした。詩も中盤、蜜柑(みかん)畑の情景が描かれている件にさしかかった。なんとその時、微かに蜜柑の香りが教室に漂ってきたのだ。「こ、これは...」ついに、自分の授業はこの領域まで辿り着いたか!と思うのも束の間、窓際の生徒がムシャムシャ蜜柑を食べていた。あまりにもタイミングが良すぎたので、最近よく使われる言葉(ゾーンに入ったのか)と錯覚してしまった。その後、皆でその生徒に突っ込みをいれたのは言うまでもない。さらにその時間内に、ストーブの上に置いていた弁当の中身が飛び散るというオマケもついた。

これが最高の授業に最も近づいた時?である。言えることは、③「感動」とまではいかないが、私にとってもそのクラスの生徒たちにとっても、生涯忘れることのできない思い出になっている、ということ。蜜柑にまつわる話のひとつである。