校長 片山 造
教育庁で指導主事をしていた時のこと。ある支援学校を訪問することになった。校長先生と話をしたり生徒さんの授業を見学したりした。
そんな中、発表会に向け合奏の練習をしているクラスがあった。先生が「さぁ、今日はお客さんが来てくれています。みなさん、練習の成果を見てもらいましょう。」合唱、エレクトーン・ドラム・リコーダー・手拍子など、発表曲の演奏が始まった。
百年たっても好きでいてね
...
いつか父さんみたいに大きな背中で
いつか母さんみたいに静かな優しさで
どんなことも超えていける
家族になろうよ
感動のあまり、演奏終了後、思わず指揮をする先生に握手を求めてしまった。そこには確実にあたたかな空気と(なにがあっても大丈夫)そんな優しさが伝わってきた。そして、私はてっきりその先生が生徒のために書き上げたオリジナル曲だと思い込んでいたのだ。後で分かったことだが、その曲は、映画「そして父になる」の主演でもある福山雅治さんの歌だった。福山さんは雑誌のインタビューの中で、こう答えている。「モチーフは戦争中に農業をやりながら女手一つで子どもを育てた祖母の存在。日本女性特有の強さというか、生きざまや美しさに繋がる歌詞にしたんです。」
今でも思い出す。あの時の涌き上がるような感動はなんだったのだろう。勘違いという恥ずかしいことはあったが、また味わってみたい感動である。