校長 片山 造
高校生の時、突然スイッチが入る(※あるきっかけで、急に考えや気持ちが切り替わること)先生がいた。普段はいたって物静か。授業も耳を澄ましていなければ聞き取れないほど小さな声。今はやりのアクティブ・ラーニングとは程遠く、雑談を交えることもなく講義型の授業が淡々と進んでいく。そういえば、眼鏡をかけていて、いつも難しい専門書を読んでいた。
その先生に突然スイッチが入る時があった。右手の中指で(ひょいっと)眼鏡をあげ特定の生徒をみた時、それがサイン?チョークが置かれ、全員ではなくある生徒に向け先生は語りかける。その際、先生はその生徒から決して目線を離すことなく、切々と(人の道)を説いていく。教室は(ピーン)と張りつめた雰囲気になる。
(先生すみません)話の内容は覚えていないが、「人間、楽をしてはいけない」というのがいつも話の最後の言葉だったような気がする。
わたしも50才を前にして、めがねをかけるようになったが、今のところスイッチの切り替えには使っていない。しかし、ずれてきためがねを指で上げる時、その先生のこと、そしてあの時教室に流れていたほどよい緊張感を思い出す。