保護者懇談会

校長 片山 造

午後から「保護者懇談会(3者面談)」が実施されています。放課後の教室では、保護者と生徒、担任の先生が(学校や家庭での様子)(これからのこと)について真剣に時に笑顔も交えながら話をしています。

私自身、ここ福泉高校で2年生の担任をしていた時のこと。長期にわたり学校を休んでいる女生徒がいました。担任である私は、毎日、(お母さん)電話をしたりプリントを届けたりすることがいつの間にか(あたりまえ)になっていました。お母さんによると、「少し前から、昔の友達と夜遊びをするようになり、その頃から娘が口をきかなくなった。ついには娘が何を考えているかさえわからなくなった。」とのこと。それでもお母さんは「先生、私はまだまだあきらめていませんよ。必ず学校に戻します。」と言ってくださいました。お母さんの苦労は並み大抵なものではなかったと思われます。

そんな時、保護者懇談会がありました。出席時数も危うい状態だったので、これを最後のチャンスととらえ、母親と作戦を立て、なんとか、生徒に来ることを約束させました。そして、懇談当日。約束の時間が過ぎました。(やはりだめか)と教室で待っていたその時、携帯電話が鳴りました。「先生、もうすぐ学校に着きます」弾んだお母さんの声のうしろから、生徒の声も聞きとることができます。私は教室を飛び出し、3階の正門がみえる場所へと廊下を走りました。(注①廊下を走ってはいけません!)遠くに目をやると、学校に続く一本道を懸命に自転車を立ちこぎする母親の姿、後ろからその背中にしっかりつかまっている生徒の姿が飛び込んできました。(注②自転車の二人乗りはいけません(><))私は嬉しくて、校舎の窓から「おーい」と叫びながら、手を振っていました。(注③懇談中です。大きな声を出してはいけません!)その後、教室で(今までのこと)そして(これからのこと)を話しました。午後の教室にたおやかで優しい空気が流れていたことを今も覚えています。

それから8年後、私は校長として福泉高校に戻ってきました。そして、その年の文化祭。彼女は2児の母親となり学校の食堂で再会を果たすことができました。子どもを抱えながら、「先生、あの子らスカート短いで。卒業生として注意してくるわ。」という女生徒→彼女→2児の母親の姿が眩しくもあり嬉しくもありました。