(ふつう)ということ

校長 片山 造

10年以上前の夏のこと。その年はとんでもない猛暑だった。テレビでは連日「観測史上最高気温を記録」というニュースが流れていた。その時、私は札幌にいたが、本州と比べて涼しいはずの北海道も35度をこえる暑さが続いていた。家電量販店では扇風機が入庫待ちの状態だった。夜のニュース番組で、公園の噴水の中に入り「キャーキャー」と水浴びをしている子どもたちの様子が映し出されていた。アナウンサーがその中でもとりわけ楽しそうにはしゃいでいる子どもにインタビューを試みた。

「たのしいですか?」アナウンサーのその問いかけに、子どもは動きを止めて真顔で答えた。「ふつう」。(ん?)そのやりとりに違和感を覚えテレビを二度見してしまった。その子どもは誰が見ても、とびきりはしゃいでいたはず。それが(ふつう)とは...。

今、読んでいる本がある。それは井手英策さん著『(小学生の僕が考えた)ふつうに生きるって何?』。内容については、またの機会に紹介させていただこうと考えている。果たして(ふつう)って何だろう?それを考えながら読み進めていくことにする。

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