桜にまつわるお話

 (太平洋と日本海を桜でつなごう)バスの車掌、佐藤良二さんは、そんな思いで1966年から勤務していたバス路線(愛知県名古屋市から石川県金沢市まで)にたった一人で桜の苗を植え続けました。きっかけは、ダム建設によって水没する桜の木「荘川桜」が地元の人々の強い願いでダムの畔に移植され、美しく咲いたことに感動したからだと言います。佐藤さんはその後12年間、一人で桜の苗を植え続けました。その数、2,000本。

 物語は終わりません。その後、佐藤さんが亡くなり、バス路線も廃止されましたが、彼の意志は、地元の有志によって受け継がれ、桜の苗木は今も植え続けられています。植えられた桜は荘川桜とともに毎年咲き、旧バス沿線では様々なイベントが行われています。この話は『さくら道』(中村儀朋著/風媒社)として出版されるとともに映画化され、確か小学校の国語の教科書にも載りました。

(一人の人間の思いが、まわりをつき動かし、志が引き継がれていく)いい話です。