ずいぶん昔、私が大学生だった頃の話。電車の中、友人何人かでそこにいない彼の話をしていた。その内容は、(時間にルーズとか約束を守らないなど...)その場にいないのをいいことに好き放題だった気がする。
「その話、楽しいですか。」
突然、前にいた同世代の男性が振り返り、にこやかに私たちに話しかけてきた。
「...」
私たちはその問いかけに返答することができなかった。
彼は、その話、もうやめてくださいと言ったわけではないし、話をしている私たちをとがめたわけでもなかった。しかし、確実に私たちに彼の思いが届けられた気がする。
中島 敦著『山月記』の主人公李徴は、こんなことを言っている。
「人生は何かを成し遂げるにはあまりにも短すぎるが、何もしないで過ごすにはあまりにも長すぎる。」
(楽しいことに時間をかける)そんな時間の使い方をしたいものです。