子どもの保育園の遠足の時のこと。子どもと同じクラス(うさぎ組)の園児のお母さんから声をかけられた。「片山先生ですよね。福泉高校で先生の学年だった○○です。」
どうやら、私が学年主任及び担任をした時の生徒さんのようだ。話は続く。
「先生に授業を教えてもらったことはありません。だから先生は覚えてないと思います。」
「...」
「在学中に先生と話をしたこと、一度だけあります。そのことは、よく覚えてます。」
しばし、懐かしい高校生活の思い出語りや今でも親しくしている友人の話を聞いた後、どうしても、自分が何を話したのかを知りたくて、おっかなびっくり聞いてみた。
私が彼女に言った唯一の言葉は、「化粧、どのくらい(時間)かかりますか?」だった。
化粧を注意されるものとばかり思っていたら、そうではなく、戸惑いながら「△分ぐらいです」と答えたら、「そうですか」とその場は終わったらしい。
「先生は何か(他の先生とは違う)独特の雰囲気を持っていて...。今日話せてよかったです。」
もちろん、そのことについて残念ながら、私は覚えていない。果たして、その時の私は、何を伝えたかったのだろうか?
「化粧をする度、そのことを思い出します。」と彼女は微笑みながら話してくれた。なにが印象に残るのかわからない。恥ずかしいくもあり、ほほえましくもある出来事だった。