負けたことに負けるな

 これは、長年の間、日本の女子長距離界を牽引し、今年1月に現役を引退した(福士加代子さん)がアテネオリンピック1万メートルで2周遅れの26位(27人中)に終わった後、高校時代の恩師から携帯に送られてきたメッセージ。

 この言葉には雑味や思惑はない。それどころか、試合で思うような結果を残すことができなかった福士選手への労いと激励の意味がこめられた(あったかくて深イイ)言葉であるような気がする。福士さんは、自らの著書「福士加代子」にこの言葉について、こう書いている。

 その言葉が「負けたことに勝ってこい」だったら、その時の私は苦しくて受け止められなかったと思う。つらかったけど、腑に落ちた。電車の中だったけど泣いた。うれしかった。

(誰かにかける言葉)そして(それを受け止める心)。

 どちらも難しいが、明日へと繋がっていく大切で必要なこと。さて、今日はどんな言葉のやりとりがあるのだろうか。まずは、それを愉しむことから始めてみようと思う。