1年生対象「SSH講演会」を開催

 12月19日(火)4限、1年生の学校設定科目「セレンディピティ(SD)」の授業において、岸高ホールでSSH講演会を開催しました。今年度は名古屋大学工学部化学生命工学科の鈴木一正先生に「研究をしよう、その準備をしよう、そして研究を楽しもう」と題して講演いただきました。

 現在、「セレンディピティ(SD)」では、2年生で取り組む課題研究の研究テーマの設定に取り組んでおり、生徒たちにとってはとても参考になったと思います。

 鈴木先生はイタリアに留学していたこともあり、最初に旧ボローニャ大学の世界で初めて人体解剖が行われた人体解剖室の写真を示し、研究とは未だ世界で誰もやったことのない物事を学問的に調べて、真実や真理を明らかにしたり、追及したりしていくことで、その新しい成果や解釈を客観的なデータを用いて証明し、学術論文など記録に残すことだと話しをされました。「客観的なデータ」や「記録に残す」などがキーワードとなります。

 また、研究について生徒たちには、「新しいワクワクする研究をしよう」、「とことん掘り下げて真理に近づこう」、「客観的なデータにまとめて発表しよう」と伝えていただきました。

 その後、研究テーマの設定、先行研究の調べ方、実験方法や評価方法などに関して、以下のようなアドバイスをいただきました。

○研究テーマの設定について

 ・研究を始めるにあたり、先行研究を調べ、どうオリジナリティを出すのか考えよう。

 ・初めから明確なゴールを見据えず、ぼんやりした方向性があればよい。

 ・「やりたいこと」と「できること」とのバランスが重要。

 ・自分たちのアイデアでどこまで掘り下げられるのかを考えよう。

○先行研究の調べ方について

 ・これまでの研究や知見を知らなければ、課題や新しいことは見えてこない。

 ・論文などの1次情報までたどるのがベター。Google Scholarで検索するのがお薦め。

 ・ネットの情報は参考文献にならない。

○実験方法や評価方法について

 ・変数(x軸)と評価軸(y軸)を明確にすることで方針と結果が見えやすい。

 ・主観的なデータや感想ではだめであり、客観的なデータをとることが重要である。

 ・数値化することが最も単純である。

 ・先行研究と比較可能なデータをとれるとよい。

 こうした一般的な話しのあと、実際に1年生が考えている研究テーマについてコメントをいただきました。上記の考えに基づき、以下のようなアドバイスをいただきました。

 ・「睡眠の質」という言葉では、何をもって評価するのか不明。評価基準(y軸)をどうするのか。

 ・「人口を増やす」ではなく、目標の人数を明確にするなど、具体的に数値化する。

 ・研究の対象は広げず、絞ることが大切。研究の目的と結論は1つにする。

 鈴木先生には具体的に分かりやすくお話しいただきました。課題研究を実施するにあたり、研究テーマをどのように設定するか、どのような方針ですすめていくかによって、方向性が大きく変わります。

 お話しいただいた中で、先行研究と異なる(比較する)点の明確化、客観的なデータ(数値化)や評価基準(y軸)の重要性など、改めてそれらの大切さを認識させていただきました。生徒のみならず、私を含めて一緒に講演を聞いていた教員にとっても、学ぶことが多い講演であったと思います。

 お忙しい中、ご講演いただき、ありがとうございました。

  

  

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