「京都大学キャンパスガイド」 報告

 12月23日(土)12:50から京都大学吉田キャンパスにおいて「京都大学キャンパスガイド」が開催されました。この京都大学キャンパスガイドは、平成24年2月に行われた京都大学と大阪府教育委員会との連携協定およびグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)10校との覚書の締結に先立ち、平成23年11月から毎年実施されている取組です。GLHS10校が協働して実施する「海外研修」、「GLHS合同発表会」、「大阪大学ツアー」などの一つです。

 実施の目的は、GLHS10校の生徒が先端的学術研究の雄である京都大学を訪問し、他校の生徒との交流や大学の講義・研究に触れることにより、高い志をはぐくみ、希望進路の実現に向けて、学習意欲を向上させることにあります。

 今年度、本校生徒は6名が、10校全体では400名弱の生徒が参加しました。本校から京都大学までは遠く時間がかかりますが、参加してくれた生徒の皆さん、お疲れさまでした。京都大学の印象はどうだったでしょうか。私はこれまで様々な行事で20回程度訪れているため、さすがに感動はありませんが、初めて京都大学のシンボルである百周年時計台記念館とその前にそびえるクスノキを見た時には、その歴史と伝統の重みをひしひしと感じました。おそらく初めて訪れた生徒たちにとっては、私と同じような思いとともに、京都大学への強い憧れを感じたのではないかと思います。誰もがそう感じるとても魅力のある大学です。

 参加生徒の全員が時計台記念館内の大ホールに一堂に会し、京都大学キャンパスガイドが始まりました。Ⅰ部の全体講演に先立ち、府立北野高等学校の校長からGLHS10校校長を代表して挨拶がありました。天野校長からは、「京都大学の先生の講演を聞き、大学院生と話しをすることで、京都大学への憧れが実際に入学するんだという強い気持ちに変わってほしい」、「10校の生徒どうしが互いに積極的に交流を深めてもらいたい」、「二千年の歴史を誇る京都の街並みの雰囲気を味わってほしい」といった内容の話しがありました。

 その後、京都大学大学院理学研究科の橋本幸士教授から、「宇宙のすべてを支配する数式」を演題とする全体講演がありました。本題に入る前に、物理学者は宇宙の真理を発見し、正しい式を書き、全人類に共有することが仕事であるため、自分も含め服装を全く気にしていないという話しから入り、場の雰囲気を和やかにされていました。そこでいう正しい式の例として出されたアインシュタインが発見したE=mc2は分かりますが、演題となっている「宇宙のすべてを支配する数式」については、歴代の天才物理学者が作り上げてきた式とのことですが、その式が複雑すぎて何を意味しているのかは理解できるものではありませんでした。ただ、物理学者が行っている「研究」を垣間見ることができた気がしました。話しが面白く、あっという間に時間が過ぎました。

 生徒たちには、大学で行っている「研究」と高校での学びの違いについてお話しいただくとともに、講演の締めくくりでは、「大学の主役は学生であり、皆さんにもこの大学に入って探究してほしい」というメッセージを伝えていただきました。どうもありがとうございました。

 Ⅰ部全体講演のあとのⅡ部では、生徒の希望により、「工学」「アジア・アフリカ地域研究」「農学」「理学」「人間・環境学」「医学」「文学」の7つの分野からなる分科会に分かれ、大学院生による講義を受けました。私は本校が担当であった「医学」の分科会に参加しました。タイトルは「新時代の医療職『認定遺伝カウンセラー』の資格を持つ大学院生と学ぶ『ヒト遺伝と生命倫理』」でした。

 「認定遺伝カウンセラー」という資格があることも、実際に医療現場で働いていることも知らなかったこともあり、とても興味深く話しを聞かせてもらいました。遺伝情報の3つの特性(不変性、予測性、共有性)を正しく理解し、本人や家族の健康管理に活かす手伝いをするのが役割だそうです。この資格が制度化され、かなり経つそうですが、日本で資格を有する方はまだ356名とのことでした。

 確かに家族で遺伝性の病気を発症した場合などには、同じ遺伝子をもつ可能性があることから、その遺伝情報を知ることは予防や対策という面で有益だと考えられます。一方で、その遺伝情報を知ることによるデメリットも様々考えられます。アメリカなどでは遺伝情報を活用した医療がすすんでいるようで、これからはゲノム時代という話しもありました。メリットとデメリットがある中、日本では今後どのように展開していくのだろうと感じたところです。ご講義いただいた京都大学大学院医学系研究科の春山嵯依子さんに感謝申し上げます。

 京都大学キャンパスガイドへの本校からの参加生徒は例年少ないですが、参加した生徒にとっては、有意義な1日であっただろうと思います。部活動との関連もあるのでしょうが、来年度はより多くの生徒が参加してくれることを願っています。

 

  

  

  

  

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