「サイエンスカフェ」を開催

 1月18日(木)15:30から多目的教室において、「サイエンスカフェ」を開催しました。各科学系クラブ(物理、化学、生物、天体、数学探究、IT)の部員が各学期に1回集まり、各部の活動報告や今後の計画などについて発表し、質疑応答を行うものです。

 この日は第1部として、本校67期生で現在、量子コンピュータを活用したソフトウェアを開発しているベンチャー企業「QunaSys」でソフトウェアエンジニアをされている山口孝太さんを外部講師としてお招きし、生徒たちに講義してもらいました。講義いただく前に校長室にて挨拶させていただきましたが、ご自身も高校生時代は化学部に所属していたとのことで、化学の面白さや現在のソフトウェア開発などについて生徒たちに熱く語りたいとおっしゃっていました。

 講義の中で、千葉工業大学で開発された原子をつないで分子をつくるパズル「PuzMol(パズモル)」のウェブアプリ版を紹介いただきました。自分で自由に分子をつくることができるアプリで、小学生も対象としているらしく、楽しく学べる工夫がなされていました。また、つくった分子をもとに結合エネルギーの総和を計算してくれます。その数値から、化学反応式では現れない「エタノールの燃焼は発熱反応である」ことが分かるという話しがあり、実際に実験をしなくても、そういったことが把握できるということに興味を持ちました。

 その後、「量子化学計算」についての話しがありました。私は知りませんでしたが、量子力学の原理に基づいた計算から、原子や分子の性質を予測できるそうです。化合物の構造や物質の反応経路を実験することなく解明できる手段として、化学や製薬、製造などのものづくりの分野で、より良い材料をより効率良く開発するために活用することが期待されているとのことでした。

 ただし、製薬ではタンパク質などの巨大分子を用いた高精度の計算が必要であり、一般のコンピュータでは時間がかかるため、量子コンピュータが有効であるとのことでした。そこで、それを体験してみようということで、「QunaSys」が開発した量子化学計算クラウドサービス「QURI(キューリ)」を紹介していただき、実際にメタンの量子化学計算をQURIで実行していました。メタンなどはすぐに計算できるのでしょうが、確かにタンパク質は小さいものでも1000個以上の原子からなる巨大分子だということですので、量子コンピュータであっても相当の時間がかかるのだろうと感じました。

 シュレーディンガー方程式など、難しい話しが多くありましたが、「量子化学計算」と「量子コンピュータ」が素材、化学、製薬など様々な分野での材料開発に活用できるのだということは理解できました。また、これまで分かっていない光合成のメカニズムを解明することができるかもという話しにも驚いたところです。日々、社会に貢献する未知の開発に取り組んでいることには夢があり、すごいことだなと感心するばかりです。お忙しい中、生徒たちのために、ご講義いただき、どうもありがとうございました。

 講義の後、「サイエンスカフェ」というとおり、お菓子が配られ、IT部、物理部、数学探究同好会、生物部の順に、各部からの活動報告が行われました。

 IT部からは、あまり進んでいないと話していましたが、生物部とコラボして岸和田高校内植生把握用マップアプリの開発などを行っているという報告がありました。

 物理部からは、綿あめ機(モリソン4号機)の開発やクラドニ図形の観察、水ロケットにも挑戦したそうです。

 数学探究同好会からは、「数学オリンピック」予選突破に向けての対策について共有してくれました。問題の内容や対策について自分なりの分析と見解を述べていました。

 生物部からはIT部と協働して取り組んでいる植生マップの進展の他、大阪自然史博物館における発表会や化石堀りなどについての報告がありました。

 長時間ではありましたが、参加生徒全員が発表を熱心に聞き、質疑応答も活発に行われていました。発表者が自分のキャラクターを出しながら、言いたいことを気にすることなくしゃべることができるアットホームな雰囲気であったのが印象に残っています。私も楽しく聞かせていただきました。参加生徒にとって有意義な時間であったのではないかと思います。皆さん、お疲れ様でした。

  

  

  

  

  

カレンダー

2024年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリ