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12/9(月)本校所蔵標本調査のため、国立科学博物館の甲能直樹氏が来校されました

 78期課題研究、生物グループ「標本班」は、標本リストを改善して、本校標本群の学術的価値を高めるために、種名の不明な標本の同定方法の研究に取り組んでいます。

 その一環として現在本校にある、以前より外部の方からニホンアシカではないかと指摘されている標本が「本当にニホンアシカであるのか、同定することはできないのか」について研究しています。

 ニホンアシカは、1975年に日本海で目撃されて以来生存情報がなく、環境省によると50年間生存情報がなければ、来年2025年には「絶滅」が宣言されレッドデータブックに記載されるそうです。

 そこで先月、同定方法に関する問い合わせのメールに、生徒が作成した標本の3D画像を添付して、「国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループ」グループ長の甲能直樹氏にお送りしました。甲能氏は40年にわたってアシカ、アザラシなどの海棲哺乳類の研究をされており、その中でも近年はニホンアシカ研究を形態と分子の両面から進められています。

 すると早速この12月9日に国立科学博物館筑波研究施設より実物の調査に来校してくださることになり、参加した生徒には、以下の内容の講義と最新の研究の動向を交えて

「古代DNA分析の技術が進歩した今、なぜ茨高の標本が大切か」

についても熱く語ってくださり、生徒も最後まで熱心に聞き入っていました。

<講義の内容>

 ・ニホンアシカとはどんな生き物なのか

 ・日本国内に残るニホンアシカ標本

 →茨木高校標本以外では14体

(島根大学、天王寺動物園、岸和田高校、大手前高校など)

 海外では、ライデンの国立生物多様性センター(オランダ)とロンドンの自然史博物館(イギリス)に合計4体

 ・最近の分子系統・地理学的研究の成果

 ・ニホンアシカ研究の新たな可能性(形態と遺伝子)

  

生徒が作成したアシカの3D画像を使って講義してくださる甲能氏

<本校標本について>

 「(形態的に)ニホンアシカを含むアシカ属の特徴を持っていて、明治年間に納入されたものであれば、カリフォルニアアシカはまだ入って来ていないのでニホンアシカである可能性が極めて高い

 ということで、今後、筑波研究施設で本校標本をC T撮影していただき、D N Aが採取できるかどうかとともに、CTの断層写真を使って生徒の手で内部に残された歯や骨の形状などの形態を解析することなどを提案していただきました。

 また本校には明治時代からの旧制中学時代の文書や写真などの資料が残っていることから、これらの標本が、いつ頃どんな意図で納入されたのかなど、さらなる資料調査も重要であることも教えていただきました。

標本の同定について教えてくださる甲能氏と熱心に質問する生徒達

(生物科)

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