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8月31日(土)京都大学で行われた国際教育学会の公開シンポジウムに参加~『学ぶ心と教育を支える環境』がテーマ~

8月31日(土)に京都大学の百周年時計台記念館 国際交流ホールⅢで『学ぶ心と教育を支える環境』をテーマとする国際教育学会(ISE)の公開シンポジウムがあり、参加しました。

第一部「学ぶ心の教育」は、まず「学び直しを要する高校生へのUDLの効果〜エンカレッジスクールの国語授業の取り組み」と題して、東京都立高校のエンカレッジスクールにおけるUDL(学びのユニバーサルデザイン)の実践に関する報告があり、「授業でどう教えるか」ではなく、「どのように生徒が学ぶか」を考える教員側のマインドセットの転換という、従来とは逆転の発想をした現場での教育実践の研究で、同じ高校教育の現場を預かる者としてとても考えさせられるお話を聴くことが出来ました。

続いて「中国義務教育段階の道徳教育の課題と対策」と題して、山口大学で研究されている中国人研究者から、中国人の道徳や道徳教育の現状や将来について、着眼理由とアンケートやインタビューをした結果から見える研究成果の発表があり、大変興味深い面白いお話でした。

3人目は「失敗から学ぶ看護学の教育方法」ということで、大学の看護学教育を実践事例に、失敗の効用や重要性、生かし方などについて、体系的、理論的なお話へも展開されながらの研究発表で、「成功と失敗は共存する。成功と失敗は常に一体。失敗から学びレジリエンスを発揮することが成功の秘訣、成功から学びの停止につながらないことも秘訣」という循環論的な考え方など、高校で今年度から実践して取り組んでいる『総合的な探究の時間』でも参考にできるお話を聴くことが出来ました。

第ニ部では、「学習の意味を考える」として、私立の中高一貫校などの実践報告などがありました。

第三部は「教育を支える環境づくり」では、教育を自然科学の理論や哲学的視点から体系的、理論的に捉えたお話から、東京都世田谷区の教育委員会で行われた教育改革事例のお話、学校教育と塾・予備校・教育産業との連携の実践のお話、経済学の研究の経験による視座からの教育に関するお話などがありました。

最後に「本物の教育改革を求めて〜初等中等教育及び高等教育における事例と課題」としてパネル討論がありました。大阪市教育委員会の改革に携わられた経験を通してのお話や、「そもそも教育とは」というところが討論の焦点になる場面もあり、興味深く討論を聴きました。

明治期以降、第二次世界大戦後も含めて、日本の教育が、欧米の先進国や先行事例を追いかけキャッチアップを目指して来た時代が終焉し、高齢化と少子化、人口の確実な減少が見込まれる中で、見通しのきかない未来を支えてくれる人材を育てていく時代になっているという現状認識から、定説を正解としている教科書や、既に分かっている解を導き出す方法を知っている教員の、成功体験を伝えることに、依然として意味があるのかや、失敗を経験させることの効用について被教育者側への説得力を持たせるという課題、思考する技術、技能の伝え方や、思考プロセスを重視する評価方法などについて、色々と自問自答しながら、参加させていただきました。

大変に充実した時間を過ごすことが出来、感謝申し上げます。

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