9/6(金)体育祭(体育祭の講評)

 体育祭の閉会式では、教頭による講評が伝えられました。各団のこれまでの努力を労うメッセージにグラウンドは歓声に包まれました。当日、講評を聞いた生徒の皆さんには、観客席からの感動が伝わったと思います。閉会式で披露された講評をこちらに掲載します。

・体育祭の講評

「講評に代えて、感想を述べさせてもらいます。

 最初に、この1年間を振り返ると、最も環境が変わったのは1年生だと思います。

 去年の夏の終わり、ちょうど今くらいの季節に、導火線に火がついたように勉強を始めた人もいると思います。目の前のレールが茨木高校に続いていると信じ、受験に勝つための色々な戦略や戦術、兵法を頭に叩き込み、「グローバルリーダーズハイスクールに入って、世界で活躍するんだ。」「環境問題に取り組んで地球を助けるんだ。」と自分に言い聞かせながら、勉強に励んだ人もいることでしょう。それでも、志望校選びは最後の最後まで大変で、例えば、近くにある他の学校と最後の最後まで悩んだ人もいるかもしれません。

 時間が過ぎて果実が食べ頃になる実りの季節を迎えても、まだ迷いの中にいたかもしれせんが、その頃の君たちの背中には、はっきりと「押してください」の文字が浮かんでいたと思います。

 君たちの頑張りと、周りの人の支えが今日という日につながり、今ここに光る君が居ることを忘れないでください。

 さて、改めて今年の体育祭とそこに至るまでの経緯を振り返りたいと思います。

 団長とか委員長とか隊長とか、何かの長を務めるというのは子どもの世界でも大人の世界でも大変で、行ったことはありませんが、きっと死後の世界や妖怪の世界でも同じだと思います。特に、誰もが到底辿り着くことができないと思うような高みをめざすならなおさらです。期待と不安に胸を膨らみ、胸がドキドキ、ピクピクと動いていたと思います。

 実際に団が動き始めると、ミックスナッツみたいに色々な個性が交ざり合っていて、毎日毎日団のみんなから答えのないクイズを出されているようで、リーダーとして正しく答えられたのは、2回に1回、いや8回に2回くらいだったと思います。もっと相手の気持ちがわかれば、心を読むことができればいいのにと、日々悩んだとことでしょう。

 本番の日はどんどん迫って来るのに、コマ撮りのアニメみたいに準備は全然進まなくて、「本当に間に合うんだろうか」という不安におびえながら、その不安を振り払うために手を激しく振りすぎて、もうこの手が飛んでいくような、そんな悪夢にうなされた日もあったと思います。眠れない日が続き、柵を越える動物の数が日に日に増えていったことでしょう。

 先輩は引退するまでも、引退してからもずっと輝いているのに、自分はどんなに頑張っても腕をバタバタさせているようにしか見えなくて、毎日家のお風呂のイスに一人腰掛け、自分の鼓動を感じながら時間が全く進まないような錯覚に陥り、途方にくれていたことでしょう。

 皆で同じ目標に向かっていたはずなのに、うつむいて前髪が目にかかっているからか、眼鏡がズレてしまっているからか、探しているものはすぐ目の前にあるはずなのになかなか見つからなくて、自分はこんなにボロボロになってまでいったい何に固執しているんだろうと自問自答を繰り返していたことでしょう。一層のこと地球の果てに逃げられたらいいのにと、そんな気持ちにもなっていったと思います。

 そんなときに、尊敬する先輩や保護者の方が茨木高校の卒業生だったら保護者の方に、助言を求めた人もいるかもしれません。これまでの茨木高校の体育祭について聞く中で、茨木高校の体育祭として、いつまでも大切にしなくてはいけないこと、時代が移り変わっても変化してはいけないこと、言うなれば不易な部分の大切さに気づいた人もいたことでしょう。そのことに気づいたときに皆さんの夢の中に神様が降臨し、バラバラの心をくっつける、ひまわりのような笑顔を授けてくれたと思います。

 夢から覚めて眠気まなこを何度かこすってみると、鏡の中に、素敵な笑顔に包まれた自分が現れたと思います。この笑顔こそが、何でも解決してくれる魔法なんだと気づき、この魔法があればもう他にはいらない、2つめの魔法が無くたって自分で頑張れると、自分に自信を持てた瞬間ではないでしょうか。

 そして迎えた本番当日、今日はもう何があっても「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせ、怒りの言動は封印し、例えどんなトラブルがあっても笑顔で「大丈夫!」と声を掛けることを心がけ、実践したと思います。もし笑顔を忘れていたら暴走してしまっていたかもしれませんが、笑顔のおかげで、みんなの心の壁を取り払い、心の底から楽しめる時間を作り出せたと思います。

 今日この瞬間までの日々を振り返ってみると、誰からも愛されるリーダーになれたわけでも、誰もが知っているヒーローになれたわけでもないとは思いますが、空飛ぶマントが無くても、便利な道具が無くても、皆と協力して辿り着いた場所から見たその景色は、ここにいる一人一人の心にしっかりと刻まれたと思います。

 あともう少し、青春の1ページの最後の1行をどんな言葉で締めくくるか、そのことを考えながら今日という日の残りの時間を過ごしてください。ありがとうございました。」 以上。

 

 この講評の中には、全ての団のマスコットに関連する言葉やマスコットアピールの台詞が隠れています。マスコット製作に関わった生徒たちの努力が、観客席までしっかりと届いていたことを伝える講評でした。

 体育祭のマスコットは、毎年、3年生マスコット長の緻密な設計図をもとに作られます。竹取から始まり、竹を割り、竹の土台を作り、段ボールと新聞と模造紙を貼って、ペンキを塗る。そして、最後は小道具を作ります。マスコットアピールのための仕掛けも用意されています。工夫を凝らしたマスコットは、猛暑の中での地味な作業を積み重ねることによって、完成の日を迎えます。

 毎年、体育祭が終了すると解体されてしまうのですが、製作に携わった生徒たちの知恵や技術や熱意は、見ていた人たちの脳裏に刻み込まれ、茨高体育祭の新たな伝統として、後輩に受け継がれていきます。
 昨年度に続き、この閉会式の講評によって、当日のマスコットアピールの場面が改めて蘇り、製作に携わった生徒たちの努力が讃えられました。

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