「大学出張講義」実施報告

 昨日、8月29日(火)の午後から1,2年生全員を対象に、各教室において「大学出張講義」を実施しました。実施の目的は、大学の先生方による講義を通じて学問の最先端に触れることで、自身の知的好奇心や学習意欲を高めるとともに、大学での学びの具体的なイメージを持ち、主体的な進路選択ができるようにすることです。

 今年度は、13の大学から15人の先生方を講師としてお招きし、「身の回りの気になるメカトロニクス技術」「今、量子コンピュータが熱い!」「麻酔と痛みのお話し」「アンチ・ドーピングと薬剤師」「植物は化学工場?様々な化学物質を生み出す植物代謝の世界」「外来植物の功罪-道路のり面緑化を事例として-」「天然に倣う高分子合成と応用」「ことばとリズム-『詩とは何か』からはじまる英語学習」「少子化はなぜおこるのか?何をもたらすのか?」「論理と数理パズル」「M&A(企業買収)と買収防衛策」「旅行者行動の社会心理学」「ことば・文学作品のなかの『ジェンダー』を考える」「ケースで学ぼう!経営学」「常識を疑う:社会学の考え方について」のテーマでそれぞれ講義を行っていただきました。

 来ていただいた学部が異なることもあり、テーマは幅広く、生徒にとっては興味・関心のある講義が多くあり、どれを希望しようか悩んだのではないかと思います。ただ、時間の関係上、生徒たちは希望により、この15の講義から2つの講義を受講しました。

 私はいくつかの講義の様子を見せていただきました。現代社会における課題や身近な生活に直結した内容が多く、急速に発展していく社会において大学に求められていることも変化しているのだろうと感じながら、興味深く話しを聞かせていただきました。

 話しを聞きながら、生徒の受講態度を見ていましたが、多くの生徒が食い入るように話しを聞いていたかと思います。ただ、寝ている生徒もおり、大学の研究に触れることができる貴重な機会であるだけに、とても残念な思いでした。

 「興味を持ち、知りたいと思う」からこそ、自ら主体的に調べ、理解しようとするのだと思います。生徒には文理を問わず、様々なことに興味を持ち、主体的に学んでもらいたいと思います。「文理学科」はまさしくそういった思いで大阪府が独自に設置した専門学科であり、生徒には将来グローバルリーダーとして活躍できるよう、様々な知識と資質・能力を身に付けてほしいと願っています。

 2019年にノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが、母校である府立北野高等学校での講演において、小学4年生の担任の先生から英国の化学者ファラデーの著作「ロウソクの科学」を薦められたことがきっかけで化学に興味を持ち、北野高校を経て、京都大学の工学部に入学したという話しをされたと聞きました。まさしくその本により、化学に対する興味に火がつけられたのです。この例のように何がきっかけで将来の進路・人生が変わるかもしれません。自分は文型だから理型だからとか、自分の興味・関心を限定するのではなく、積極的にいろいろな話しを聞いたり、本を読んだりすることが大切だと思います。

 ある大学の先生は講義の中で、「大学では社会を変えるための冒険をしている。皆さんは、今はその準備としてしっかりと勉強してほしい。」といった内容の話しをされていました。私はこの「社会を変えるための冒険をしている」という言葉に浪漫を感じ、その考え方を見倣いたいなと思いました。その場にいた生徒の皆さんはどのように受け止めたのか聞いてみたいところです。

 高校では各教科において既知の知識の習得に重きが置かれているように思いますが、大学では未知に向かって探究し、社会や人のために新たな価値を生み出すことが求められています。そういった将来のことを見据えて、高校生として今、するべきことが何なのかを考えながら、高校生活を送ってほしいと思います。

 最後になりましたが、お忙しい中、ご講義いただきました15名の先生方に感謝いたします。

  

  

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