昨日、8月30日(水)午後から南海浪切ホール大ホールにおいて、全生徒を対象とした「芸術鑑賞会」を実施しました。今年度は劇団わらび座によるミュージカル「北斎マンガ」を鑑賞しました。日本が誇る浮世絵師である葛飾北斎が死ぬまで好きな絵を描き続けた90年の生涯を描いたオリジナルのミュージカルです。
葛飾北斎といえば代表作である「富嶽三十六景」のイメージぐらいしかなく、絵を描くことしか考えていない、こんなに自由奔放でパワフルな人物だとは知りませんでした。また、72歳にして「富嶽三十六景」を描くことになった経緯や背景についても初めて知ることができました。
ミュージカルで登場した人物については葛飾北斎のみならず、それぞれ皆が個性的であり、コミカルで笑える場面、思わず涙が出てしまう悲しい場面など、様々なシーンがテンポよく展開されていきました。妻「おこと」との夫婦間の愛情、特に、「おこと」の献身的な北斎への愛には感動です。娘「お栄」との互いに尊重しながらも微妙な親子関係、曲亭馬琴との互いの価値・存在を認め合いながらも素直に受け入れない複雑な関係など、様々な人間関係がうまく表現され、とても興味深く見せてもらいました。
印象に残ったことはたくさんあります。北斎の80歳になっても自分の絵に対して満足することなく、まだまだ駄目だと描き続ける姿勢と向上心には驚きました。病気で倒れても再び絵を描けるようになったのも、妻の懸命な看護もあったのでしょうが、また筆を握りたいという諦めることのない強い気持ちがあったからこそだと思います。
逆境になることを恐れず自分の意思を貫き通す強い心と、自分のやりたい絵を描くことに対するあくなき挑戦には心惹かれるものがありました。そこまででなくても、特にこれからの長い人生を歩んでいく生徒の皆さんにとっては、大切な要素ではないかと思います。
また、「好きこそものの上手なれ」という言葉が使われていましたが、自分の好きなことをし続け(それしかせず)、人生を全うできるというのは幸せなことだなと感じました。ただ実際には、100歳まで生きると言っていただけあり、亡くなる直前に、「あと10年、せめて5年でも生かしてくれたら、まことの絵描きになってみせる!」という言葉を遺したということで、本人にとってはまだやり遂げていなかったようです。絵に対する執着心と向上心は半端ないです。
さらに、ミュージカルということもあり、印象に残った歌や歌詞もあります。「HO!HO!ホクサイ!カツシカホクサイ!」というフレーズはまだ私の中に残っています。最後に歌われた「知らない道を歩こう。自分だけの道を今日から歩いてみよう。・・・新しい風になって・・・」という歌にも元気・勇気を与えてもらいました。集中して見入っていたこともあり、あっという間にエンディングを迎えた印象でした。生徒の皆さんはどのような印象を持ち、どのようなことを考えたでしょうか。
劇団わらび座の皆様、どうもお世話になりました。道具、照明などを含め、素晴らしい舞台でした。また、学校に対して色紙を書いていただき、ありがとうございました。