7月24日(水)から1泊2日で「探究スタディツアー」を実施しました。本校は平成23年度から、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、この「探究スタディツアー」はSSH事業として実施しています。今回は引率した教員からの報告をもとに、ツアーの内容をお伝えさせていただきます。
実施目的は、「最先端の研究施設での見学、研究者の講義を受講することで、科学的興味・関心を高める。また、研究者とはどのような職業なのか、研究者と話しをすることで進路選択の一助とする。また研修会を通して、課題研究のテーマ設定の参考や、研究課題の深化に繋げる。さらに研修会での発表でプレゼンテーション能力を向上に繋がることを期待する。」としています。
今年度は20名の定員を超える参加申込があったため、"プロジェクトNova"の生徒を優先しながら、応募用紙に記述された内容をもとに選考し、参加生徒20名を決定しました。
7月24日(水)は午前7時に関西国際空港に集合し、羽田空港へ。バスで東京大学本郷キャンパスに行き、実際にキャンパス内を歩いたり、食事をしたりしました。生徒たちは学生生活を想像しながら、とても楽しそうにしていたそうです。また、初めて大学構内に入った生徒が多く、キャンパスの広さや食堂の充実ぶりなどに、「大学ってこんなにすごいのですか?」と驚いていたようです。
その後、国立科学博物館を訪れ、展示物などを見学しました。生徒たちは、事前学習でどのような展示を見学したいか調べていたので、入館後は館内案内図も見ず、まっすぐに自分たちの興味のある場所へ進んでいました。しっかりと調べてきた様子、1つの展示に見入って5分以上経ってしまう様子、科学の力を体験できる器具に何度も挑戦する様子など、熱中する姿が見られたそうです。
見学終了後、ホテルに移動し、夕食後には夜の研修会として4つの班に分かれて、まずは、「積み木自己紹介」、「言語活動」、「新聞、養生テープでより高いタワーを作る」といったチームビルディング研修。そして、国立科学博物館見学の振り返りとして、展示者に関するクイズ。また、翌日訪問するJAXA筑波宇宙センターについて調べた内容と質問事項をまとめ、班ごとに発表するなどの活動を行いました。生徒たちは、それぞれ表現を工夫したり、意見を出し合ったりして、互いの役割を決めて協力しながら活動に取り組みました。また、事前に作成していたスライドの発表も充実していたそうです。
2日めとなる25日(木)はホテルを出発、午前9時20分にJAXAに到着し、ガイド付き見学ツアー(筑波宇宙センター紹介ビデオ、宇宙飛行士養成棟見学、「きぼう」運用管制室見学など)を開始しました。生徒たちは、宇宙服や宇宙飛行士の訓練施設についての説明を受けたり、「きぼう」運用管制室では実際に管制室で働いている様子をガラス越しに見学させてもらったりしました。熱心にノートを取っていたり、撮影可能エリアで展示物の写真撮影をしていたり、宇宙の無重力を体験できる傾き6°のベッドに寝てみたり、一人ひとりがしっかり学んでいる姿が見られたそうです。
昼食後、「JAXAで働くまで、JAXAの仕事・最近の成果・今後の展望」をテーマとしたJAXA職員の方による講演を聞きました。また、3名の職員の方が生徒たちの質問に答えてくれる座談会が行われました。「はじめからJAXAに入りたい!」と思って宇宙物理を専攻していた人ばかりではなく、いろいろな仕事をする職員、いろいろな背景の職員がいてJAXAはJAXAの仕事ができているという話しがありました。生徒からも「JAXAにも文系の方がおられるのですか?」との質問があり、これから進路を考える上で、1つの組織には多様な仕事と専門性が詰め込まれていることを知ることができました。また、スペースデブリや月への移住計画など、生徒が興味を持っている宇宙問題について多くの質問を行い、時間がたりないほどだったそうです。座談会の3名の職員もそれぞれ違う部署で違う仕事をしており、同じ質問でも異なった回答が出てくるなど、とても充実した時間を過ごしたようです。
その後、羽田空港から関西国際空港に。午後8時45分に解散しました。体調不良者もなく、無事、2日間の研修を終えることができました。ただ、悪天候により、羽田空港出発が大幅に遅れたため、保護者の皆様には、ご心配をおかけしました。
参加した生徒の皆さん、お疲れさまでした。参加してよかったと感じましたか。参加したいと思った目的は達成することができましたか。受け止め方は一人ひとり異なると思いますし、感動したことや驚いたこと、記憶に刻まれたことも、人それぞれだと思います。本ツアーの実施目的でもあるとおり、今回参加して感じたことや考えたことをしっかりと振り返り、自らの将来を考える上での参考にしてもらいたいです。また、今後の自らの行動や課題研究のテーマ設定など、実際の活動に活かしてもらいたいと願っています。
さらに、今回、"プロジェクトNova"の生徒をはじめ、サイエンスに興味・関心を持つ生徒が集まっており、これからも共に研究活動に取り組む仲間になると思います。今回の「探究スタディツアー」の仲間との絆を大切にしてください。