2月28日(木)第41回 卒業証書授与式 校長式辞

卒業証書授与式 式辞

 満開の梅が馥郁と香り、中庭では冬鳥が時折渡りの姿を見せて、新たな季節の到来を感じさせる早春のこの佳き日に、ご来賓並びに多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに、大阪府立牧野高等学校 第四十一回 卒業証書授与式を挙行できますことは、誠に慶びに堪えません。

 只今、卒業証書を授与されました牧野高等学校 第四十一期、三百九十五名の卒業生の皆さん、  ご卒業おめでとう。牧野高校を代表して皆さんのご卒業を心から祝福します。

 保護者の皆さまには、本日、ご卒業の日を無事に、お迎えになられましたお喜びは、いかばかりかと拝察します。心よりお祝い申し上げますとともに、ご入学以来、本校の教育活動にご理解ご協力を賜りましたことに、改めて感謝と御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

 また、大阪府教育委員会の入澤都様、本校学校運営協議会会長の松宮新吾様はじめ、本日の式のためにわざわざお越しいただきましたご来賓の皆様、本日はご臨席を賜り、誠にありがとうございました。加えて、本校後援会会長の有堀正彦様におかれましては、この日のために体育館天井の照明を全てLEDにすることに全面的なご支援をいただき、心より感謝申し上げます。

 さて、卒業生の皆さん、私は牧野高校に着任以来、皆さんの成長ぶりをつぶさに見て来ました。初夏の輝く日差しの下での体育祭、文化系クラブの「かえる祭」、毎年三千人を超える来場者のある牧高祭など、牧高の学校行事では、皆さんは、三年生の最後まで、しっかりと高校生活を楽しみ、充実させていました。体育祭の応援団長を務めた四名は、リーダーとしての覚悟や苦労を経験して、一回り以上 逞しくなったのではないでしょうか。牧高祭の演劇では、限られた時間での準備にも拘らず、ミュージカルに挑戦したクラスもあり、各クラスとも、全てが、立派な出来栄えでした。

 北海道への修学旅行では、日本列島が台風の雨雲に覆われる中、十勝の農林漁村のホームステイも、アウトドクッキングや各種のアクティビ体験も、小樽の班別活動も、皆さんの行く先々は、奇跡の様な好天に恵まれ、輝くばかりの錦秋や初冠雪に見守られて、色々な経験を積む素晴らしい旅になりました。十勝でのホームステイでは一泊二日の「スマホ断ち」に挑戦して地元のテレビや新聞に取り上げられたことも、懐かしい思い出です。 "Boys, be ambitious!" 「若者よ、大志を抱け!」に係る話は、クラーク博士像の近くを通った時に、バスガイドさんから紹介があったと思いますが、まさに皆さんが今日、高校を卒業するにあたり、改めて心に刻んでおいてほしい言葉の一つです。

 部活動では、水泳部の四十一期生が、牧野高校として七年ぶりのインターハイ出場者となり、女子バスケットボール部は一昨年に近畿大会に出場し、毎年大阪ベスト十六を維持するなど、牧野高校の伝統になりつつあります。加えて、各部が、公式戦や各種の大会のみならず、地域の行事への参加や、支援学校との交流会等に積極的に取り組み、運動系も文化系も、四十一期生の部活動の活躍には目を見張るものがありました。

 そして何より素晴らしいのは、ここにいる卒業生の全員が、晴れの日や、雨の日、風の日を通して、笑ったり、泣いたり、喜んだり、悲しんだりの様々な時間を乗り越え、夫々が個性を成長させて立派に卒業の日を迎えた、そのことだと思います。

 さて、今年、牧野高校を卒業される皆さんの未来はどんな世界でしょうか。平和で豊かな世の中であってほしいというのは誰しも願うところです。一方で、科学技術の進歩は、私たちに世界のことは未だ分からないことだらけという現実を突きつけています。宇宙の将来の姿や、生命体の生成など、多くの謎を投げかけています。人類の持続のために、地球温暖化への対策や、食料・エネルギー源の確保など、解決すべき課題が山積しています。高校までは、答えのある問題に対して正解を素早く出す訓練を繰り返すことが主でしたが、これからは、大学や専門学校等の高等教育機関、またその先にある社会に出て、答えのない問題への対応の仕方を学び、ひとりひとりが自分の使命を得て、解決していく必要があります。

 先日、日本の宇宙探査機である「はやぶさ2」が、地球との距離が月の八百倍の三億キロメートルの遠さにある小惑星「りゅうぐう」に着陸して、その岩石試料を採取するという壮大なプロジェクトを成功させ、世界中で大きなニュースになりました。大変な距離のために、地球との交信に往復で四十分ほどかかり、「はやぶさ2」からの情報を地球に送って指令を返していては、着陸動作の修正が間に合わない。それまでの観測から岩の大きさや高さを推定して着陸の姿勢や方法を検討し、それに基づいて指令を送り、エンジン噴射のタイミングを細かく自動制御し着陸を成功させたと伝えられています。しかも上空二十キロメートルの位置から、甲子園のマウンド程の半径三メートルの目的地点に着陸させています。皆さんが生きていく世界も、この「はやぶさ2」のように、予測できない変化の中で対応を求められる未来かもしれません。校長として願うのは、どんな世界になっても、ひとりひとりが自分の無限の可能性を信じて、未来を切り開いてほしいということです。

"You can do anything you set your mind to. The sky's the limit." 「やろうと決めたら何でもできるさ。限界などないさ。」限度など設けずに、"The sky's the limit."で、 二十一世紀を生き抜いて欲しい。このことを卒業の餞に贈りたいと思います。

 結びに、牧野高校は、皆さんの母校として、今後とも嬉しい時も、苦しい時も、いつでも帰って来て話のできる学校でありたいと思っています。

 保護者の皆さまにも、牧野高校に引き続き温かいご支援をお願い申し上げまして式辞とします。

平成三十一年二月二十八日

大阪府立牧野高等学校

校長 日 笠  賢

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