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9月10日(火)京都大学 こころの未来研究センターの 広井 良典 教授の「人口減少社会のデザイン~拡大・成長から持続可能性へ」を聴きました

9月10日(火)夜には、大阪京大クラブの総会と9月例会があり、京都大学こころの未来研究センター の副センター長である 広井 良典 教授の「人口減少社会のデザイン~拡大・成長から持続可能性へ」という講演を聴きました。

日本は、先進国では世界で最も早く高齢化と人口減少に直面する国として、世界の先頭を走っており、英国のエコノミスト誌(The Economist)の2010年11月号で、「Japan's burden」として特集され、ジャパン・シンドロームなる言葉まで使われるようになっていて、現在も世界の注目を集めています。

今回のお話しは、日本の高齢化と人口減少に向かうこと自体が、果たして危機なのか、チャンスなのかということを含めて、日本の平安京以降の人口推移と歴史を辿り、現在の国の債務残高や貧困世帯割合の増加、低出生率、少子化、社会的孤立度の高さやコミュニティの希薄化などを認識したうえで、持続可能な日本の未来に向けて、2万のシナリオや150近い指標を用いて、AI(人工知能)を使い、日本の未来の分岐シミュレーションを行って政策提言するというものでした。

広井教授は東京大学教養学部の科学史・科学哲学専攻出身ということもあり、人類誕生以来の世界人口の超長期推移、その拡大成長と定常化の3度のサイクル、その中で、縄文人の「心のビッグバン」や、紀元前5世紀前後のソクラテス、ブッダ、孔子、旧約思想などの精神革命があったことにも話が及び、その観点から工業化社会による近代化で成長・拡大した3つ目のサイクルが3度目の定常化になりつつあることにも触れられました。

後半は、ポスト資本主義、ポスト・ヒューマン、トランセンデンス、シンギュラリティ、ホモデウスといった、最近のキーワードや、「100万回生きたねこ」の絵本(そういえば、牧高祭の3年8組の演劇がこれでした。大変評価の高いものでした。)に触れ、『「限りない拡大・成長」よりも「持続可能性」に価値を置く新たな科学や社会思想の必要性』から『日本の出番』というお話しになりました。

日本の未来の分岐シミュレーションでも、都市集中では持続可能性が困難で、地方分散の方に分があるようです。自然エネルギーによる地域再生をめざす事例として、SDG's未来都市の岡山県真庭市や、宮崎県高原町の紹介があり、地方で鎮守の森や地域の祭りなど、地域コミュニティを大事にしながら、地産地消で自然エネルギーを有効に使う茨城県石岡市や京都府八幡市、栃木県秩父市の事例も紹介されました。実際、都会で学んだ学生が、最近は、祭りが盛んな地元に戻る例も増えているようです。

「一極集中」から「多極集中」(「地域分散」でない)という方向性は、大変興味深いお話しでした。

広井教授には、牧野高校の生徒にも、未来社会のお話しをしてほしい旨をお願いしました。近いうちに実現できるようにしていきたいと思います。

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