「セレンディピティ(SD)」テーマ発表会を開催

 2月9日(金)6,7限に、1年生全員が1年1組から8組までの各教室、4階選択教室と3階西選択教室の10か所に分かれて、来年度2年生で研究活動を行う研究テーマおよび研究計画などについての発表会を開催しました。

 1年生の学校設定科目「セレンディピティ(SD)」では、2年生の学校設定科目「文理課題研究」で行う研究テーマの決定に向けて、年度前半においては、課題研究の意義、研究のための基礎知識や手法とテーマ設定の方法などを学びました。今年度は研究テーマを決めるための自分自身の興味・関心を探る時間が必要と考え、新たな教材を用いて、普段気にしていない物事に注視し、身近にある問題点や違和感に気づくという学びにも取り組みました。5月には課題研究とは何かを学ぶために、3年生が昨年度2年生で行った自らの課題研究について1年生に直接伝える機会を設けるとともに、9月には2年生「文理課題研究発表会」の中間発表(ポスター発表)に参加し、課題研究に関する学びを深めました。そして、そうした学びを活かして、自らが取り組みたい研究のテーマを検討し、そのテーマの内容によって課題分類ごとに分かれたうえで、同じテーマで一緒に研究を行うグループを決定しました。

 後半においては、その決定した研究グループで、教員と生徒がディスカッションを繰り返し行い、研究テーマを深めるとともに、2年次からの研究計画を立てることを目標に活動を行いました。また、1月末に行われた2年生の「文理課題研究発表会」の最終発表(口頭発表およびポスター発表)にも参加し、研究手法などについて検討しました。そうした活動をとおして設定した研究テーマと2年生での研究計画についてプレゼンテーションを行うことが今回の発表会の目的です。

 先ほどの課題分類とは、①数理・自然・情報科学、②医療・保健・福祉、③健康・スポーツ、④くらし・食・まちづくり、⑤教育・心理、⑥文化・社会、⑦国際・人権、⑧芸術・表現の8つに、すでに決定していた"プロジェクトNova"をあわせた9つになります。今回、研究グループを決定した結果、全体では88グループとなりました。グループといっても、1人で研究活動を行う生徒もいます。また、グループの最大人数は6名です。

 10か所に分かれて発表を行ったため、3つの教室で8つのグループのみになりましたが、生徒たちの発表を聞いて回りました。多くの生徒の前で教壇に立ちスライドを使って喋ることに慣れていないこと、他のクラスの生徒も入った状況であったことなどもあり、多くの生徒が緊張した様子で発表を行っていました。発表するという点ではよい経験になっただろうと思います。これから経験を積んでいけば、人前で発表することにも慣れてきて、堂々と喋ることができるようになるのだろうと思います。

 どのグループも一般的な流れのとおり、このテーマについて研究したいと考えた動機や、その研究テーマにかかる先行研究について、また、研究手法を含めた研究計画、参考文献といった順で説明がすすめられました。一部、仮説についても触れているグループがありました。

 ただ、研究テーマを決定した動機については理解できるのですが、研究手法が曖昧なままのグループや、先行研究との違いが分からないと感じるグループもありました。研究を開始するまでに改めて、何が課題で、どのような研究手法で研究をすすめることで、より説得力のある考察を導くことができるのかをしっかり考えてほしいと思いました。特に、研究である以上、何がすでに明らかになっていて、何が分かっていないかを把握したうえで、研究テーマ(課題)に対するリサーチクエスチョン(問い)を立て、研究手法を検討する必要があります。その意味で先行研究を調べることには意味があるのですが、これまで行われていない自分たちの独自の発想で、オリジナルを追究していかなければ「研究」とは言えません。決して、単に〇〇に興味・関心があり、〇〇を調べてみたいと思っていますといった「調べ学習」にならないようにしてほしいです。

 また、課題研究をすすめるにあたっては、いろいろなことに疑問(問い)を持ち、しっかりと考えてほしいと思います。疑問を持つという点では、テーマ発表会の当日、他のグループの発表に対する質疑応答において質問する生徒が少なかったのが残念でした。正直、突っ込みどころは多くあっただろうに、もっと質問してほしいなと思いました。

 発表では、発表者よりも発表を聞く側のほうが主役だと考えてほしいです。発表者は聴衆に自分の研究内容やその結果考えたことなどについて理解してもらうことに尽力しなければなりません。また聴衆は話しを聞いていて、疑問に思ったことは遠慮なく発表者に質問することが求められています。そして、発表者はその質問に対して誠実に根拠のある返答ができることをめざしてもらいたいです。質疑応答や意見交換により、質問力や応答力を高めることも発表を行う目的の一つとなります。このことは教科の授業と同じです、授業を受けている生徒の皆さんが主役ですよね。単なる聴衆で終わらないよう心がけてください。

 課題研究の質を向上していくためには、教員のみならず、グループ内で、またはグループを超えて、様々な視点から疑問に思ったことは質問しあうことが重要です。1年生にとっては、来年度から実際に研究活動を開始します。その研究活動をとおして、自ら学び自ら考える力、自ら問いを立て解決していく力などを高めてもらいたいと願っています。これから生きていくうえで、必ず必要となる力です。そのことを意識してもらいたいと思います。

  

  

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