2年生対象「SSH講演会」を開催

 昨日2月8日(木)5限、岸高ホールで2年生対象SSH講演会を開催しました。昨年度に引き続き、大阪医科薬科大学一般・消化器外科医の河野恵美子先生に「人生は一度きり。まずやってみなはれ」と題してご講演いただきました。

 前半はご自身の半生についてお話しがありました。高校では部活動しかしていなかった、深く考えることなく看護学部にすすんだ。そして20歳のときに交通事故に遭い、4か月入院し、世界一不幸だ、生きていても仕方ない、死にたいと思っていたところに、友達のお葬式に行ってきた友人から「生きているだけよいではないか」と言われ、明日死んでも後悔しないような生き方をしたいと思い、患者を経験した人間が看護師を経験し、さらに医師になったら素晴らしい医療ができるに違いないと考え、医師をめざしたそうです。

 その医師になりたいとの思いから、ご本人いわく偏差値「38」から、国立の医学部に入りたいとの高い志をもち、必死で頑張ったそうです。といっても、ただ闇雲に勉強したというのではなく、夢を現実にするための4つの「STRATEGY(戦略)」がありました。①常識にとらわれない。成功のイメージを常に持つ、②戦略を立てる、③効率は大事、④これだけやって駄目なら仕方ないという領域までやる。成功するまでやり続ける。です。

 卒業された宮崎大学医学部(当時は宮﨑医科大学)は女性再入学者にやさしく、ユニーク選抜があることを調べて受験した、また、受験勉強も小学校6年生のドリルからやり直したとのことです。そして何よりも凄いのがこれだけやってだめなら仕方ないというところまでやり切るという強い意志と行動力です。

 確かに、高い目標を達成するためには、それなりの戦略が必要だろうと思います。聞いていた2年生にとっても来年度の大学受験に向けて、参考になったのではないかと思います。ぜひとも、自分の現状を把握し、目標とする大学を定めて、そこに到達するためにはどのような行動を起こすべきなのか、戦略を立ててほしいと思います。

 平成13年に宮崎大学医学部を卒業し外科医となり、その後出産、子どもが1歳となり復帰しましたが、「24時間365日働けない」という理由で執刀・外来・患者受け持ちは許されない環境で、後輩の女性外科医2人が出産の後、辞めてしまい、続けたいのに続けられない人を二度と出したくないと、女性医師としての活動を始めたそうです。

 平成23年には「外科医の手プロジェクト」を発足。これまで作られてきた手術デバイスは重く、ハンドルサイズが大きく、動作が固いなど、女性にとっては使いにくかった。それを改善するため、英語の論文を書いてアメリカのメーカーと交渉したことにより、平成24年には日本人初の女性のボイス・オブ・カスタマー(VOC)に選ばれたそうです。

 その後、先生の弟が40歳の若さで、すい臓がんで亡くなられたこともあり、「世界中の人の役に立つ仕事をする」との思いから、臨床をやめて器械の研究・開発に専念すると決められ、ドイツのグローバルカンパニーと契約を交わし、器械開発をすすめたとのことです。

 令和2年には、女性医師における男女共同参画の活動を10年以上継続して行った功績が評価され、内閣府男女共同参画局「令和2年度女性のチャレンジ賞」を受賞されています。また、令和4年には外科手術件数の男女格差を実証する論文を発表したことで、令和5年7月に日本消化器外科学会が男女の執刀数を定期的に検証し格差を是正していくとする「函館宣言」を採択したとのことでした。

 交通事故に遭ったことから医師になろうと医学部入学をめざし、見事医師になっただけではなく、出産してから女性医師としての活動を始め、手術器械の研究開発や外科医としての男女共同参画の実現に取り組まれてきたことには感心させられるばかりです。

 ご自身の話しの後、後半では生徒たちに多くのメッセージを発信していただきました。「可能性は皆さんにもある。自分でやれることを制限してはだめ。自分で自分の可能性を潰したらだめ。」、「成功している人は必ず努力している、失敗もしている。挑戦しなければ失敗もない。失敗は多くのことを教えてくれる。」、「やりたいことが出てくれば一歩踏み出す。やらなかった後悔はどんどん大きくなる。」、「人生は思っている以上に短い。時間は人生そのもの。」などです。また、アメリカ第37代大統領リチャード・ニクソンの言葉「人間は負けたら終わりなのではない。辞めたら終わりなのだ。」を紹介していただきました。まさにこれらの言葉は、河野先生の生き方そのものだと感じました。

 生徒からの質問に対して、「人生1回しかないので、やりたいことをやりたい。」、「達成しなくてもその経験が次につながる。」、「成功体験を増やすことが大切。」と答えられたポジティブな言葉が印象に残っています。生徒たちには、自分のやりたいことが何なのかを考え、それに向かって粘り強く取り組んでいってもらいたいです。

 当日嬉しいことがありました。講演後に校長室で先生と話しをしていると、1人の女生徒が話しに感銘を受けたと校長室にやってきたのです。話しの邪魔をしてはと躊躇していたようですが、思い切ってドアをノックしたそうです。とても緊張した様子でしたが、自分の気持ちはしっかりと伝えていたと思います。生徒からの要望もあり、お気に入りの本にメッセージとサインを書いてもらっていました。この生徒にとって、この一歩踏み出したことがこれからの人生によい影響を与えるだろうなと感じ、嬉しく思ったのです。

 講演後の6限は授業があったため、先生を訪ねて来ることができなかった生徒も多くいると思います。それぐらい、勇気をもらった心に響く講演だったのではないかと思います。生徒の皆さんには、気持ちが高まっているうちに、行動に移してもらいたいと願っています。ぜひとも、戦略を立ててください。河野先生、どうもありがとうございました。

    

    

    

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