「令和5年度GLHS合同発表会」 報告

 2月10日(土)13:00から大阪大学箕面キャンパス1階大講義室において「令和5年度GLHS合同発表会」が開催されました。箕面キャンパスは令和2年度築10階建ての特徴的な建物でした。「GLHS合同発表会」はグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)10校の代表生徒が各学校で取り組んできた課題研究の成果を発表する場であり、GLHSが設置された平成23年度から開催されています。なお、この発表会では、優秀な発表に対して、大阪府教育委員会賞、大阪大学賞が授与されます。

  

  

 大阪府教育庁大久保教育監、大阪大学田中理事・副学長からの挨拶の後、以下の順に以下の研究テーマの発表と発表に対する質疑応答が行われました。なんと三島由紀夫がかぶるという珍しいことが起こりました。

 岸和田 「新しい中学道徳の授業」

 生野  「公平であるということ-トランスジェンダーのスポーツ参加について-」

 北野  「三島由紀夫『サーカス』研究 ~若さへの憧憬~

 茨木  「ペンギンにやさしい個体識別」

 天王寺 「One Healthを大阪から世界へ~いのち輝く未来社会のデザインをめざして~」

 四條畷 「子ども食堂から始める食品ロス解決への道 ~win winプロジェクト~

 大手前 「三島由紀夫~身を滅ぼした『優しさ』~」

 高津  「食堂の注文予約のオンライン化による効果」

 三国丘 「誰もが使いやすいメイクブラシの開発」

 豊中  「高校生の暗記科目の学習における自己効力感について」

 本校の代表2年生の桶谷くんは1番最初に発表を行いました。研究テーマは「新しい中学道徳の授業」です。研究内容については2月4日に掲載した校長ブログ「『GLHS合同発表会』に向けた練習会」をご覧ください。私が桶谷くんの発表で一番気になっていたのが8分間という制限時間です。文理課題研究発表会でも、2月3日の練習会においても、時間をオーバーしてしまいました。そのため、伝えたいことを明確にして、そこから膨らませていく形で内容を精査するよう話しをしていましたが、当日はぴったり8分で終了しました。また、プレゼンテーション力はさすが演劇部。流れるような話しぶりでとても分かりやすく聞くことができました。ただ、まだ研究の途中段階ということもあり、残念ながら表彰されるには至りませんでした。ちなみに、大阪府教育委員会賞は高津高校、大阪大学賞は三国丘高校でした。

  

  

  

 10校の代表生徒の発表がすべて終わった後、7月29日(土)~8月5日(土)の8日間、GLHS10校の生徒3名ずつ計30名が参加したGLHS10校合同海外研修(サンフランシスコ研修)の成果報告が行われました。12月16日(土)に府立天王寺高等学校で行われた成果報告会で選ばれた2グループ10名がチーム30名の代表として報告しました。2グループが選ばれた経緯については、12月18日に掲載した校長ブログ「GLHSサンフランシスコ研修成果報告会 報告」をご覧ください。

 当日の報告は12月16日(土)に行った報告をはるかに上回る素晴らしい出来でした。ペーパーを見ることなく、堂々と自信を持って発表していました。かなりの時間をかけて練習してきたのだと思います。大勢の前で立派に発表できたことは大きな自信に繋がったと思います。ちなみに、10名の中にはサンフランシスコ研修に参加した本校の1年生も含まれていました。そのため、私自身もドキドキしながら聞いており、無事、終えた時にはホッとしたところです。もちろん、本人はそれ以上に無事終えた安心感と満足感に包まれていたことだと思います。お疲れさまでした。

  

    

 海外研修の報告が終わった後、審査員であった大阪大学の佐藤浩章教授、GLHS設置当初からGLHS評価審議会委員をしていただいている兵庫教育大学の浅野良一教授から講評がありました。

 佐藤教授の話しは、「ある研究者が5歳児は1時間にどのくらい質問するのかを調査した。5歳児はいくつ問いを思いついたと思うか。」という質問から始まりました。平均は107個だという回答にどよめきが起こりました。5歳児がピークで、6歳児になると問いの数は減っていく。すなわち、学校に行き始めると人間は問いを発しなくなり、学校がつくった問いに対して答えを見つけにいくようになる。その中で探究学習は教科学習とは異なり、自分たちで問いをつくり、その答えを見いだす。世の中に出れば、問いは自分たちでつくり、答えを見つけなければならない。したがって、この問い(リサーチクエスチョン)の設定が重要となる。しっかりとした問いが立てられれば、しっかりとした探究学習に結びつく。「多くの問いを持つ者は多くのことを学べるし、良質な問いを持つ者は良質な人生を送れる」という言葉もあるそうです。生徒の皆さんには、今後、多くの問いを持ち、質の高い問いを立てることを心がけてほしいと思います。

 浅野教授からは3つの話しがありました。1つめはGLHSにおける探究の成果について。教科学習と探究学習は別のものではなく、教科学習をしっかりと行うことによって探究学習も深まっているというお話しでした。2つめは人のキャリアについて。スタンフォード大学のクランボルツ教授は、「人のキャリアは偶然によって決まる」と言われているそうです。子どもの頃から○○になりたいと言って、実際になっている人は3%ぐらいで、多感な時期に体験したことがキャリアに繋がっている場合が多いとのことです。GLHSでは研修や講演会などが行われているので、積極的に挑戦して、様々な刺激や体験をキャリアの糧にしてほしいというお話しでした。3つめは探究学習の意義について。問いを立て解決策を見つけ出す「探究」というのは実社会に出るとこれが当たり前。この探究を高いレベルでやっていくというのはGLHSとしての使命である。皆さんには、世の中をよくするための様々な取組をしてもらいたいと思う。活躍を期待しているというお話しがありました。

 お二人の話しを聞いて、GLHSにおいて探究学習を推進している私にとっては、改めてその重要性を認識することができ、とても意欲が高まりました。聞いていた生徒たちも同じだと思います。

 その後、表彰が行われ、閉会となりました。

カレンダー

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

カテゴリ