令和6年度「大学出張講義」報告

 昨日、8月27日(火)午後から、1・2年生を対象とした「大学出張講義」を実施しました。実施の目的は、大学の先生方による講義を通じて学問の最先端に触れることで、自身の知的好奇心や学習意欲を高めるとともに、大学での学びの具体的なイメージを持ち、主体的な進路選択ができるようにすることです。

 今年度は、11の大学から15人の先生方を講師としてお招きしました。様々な学部の先生方にお越しいただき、「数学」「薬学」「農学」「システム工学」「医学」「化学」「生物学」「建築」「量子科学」「経営学」「文学」「社会学」「法学」「経済学」「国際学」の15講座を設定しました。

 それぞれ順に、「論理と数理パズル-パズルを通して数学を見る-」、「傷ついた中枢神経を再生させる治療薬は存在しない!~再生メカニズムの研究から治療薬の開発につなげる~」、「微生物バイオテクノロジーが拓く循環型社会」、「妖怪研究?和歌山大学システム工学部の自由過ぎる研究」、「麻酔と痛みのお話し:痛みの多様性と超音波を用いた痛みのコントロール」、「化学の力で病気を治療する-命を守る化学素材-」、「地球温暖化とイモエネルギー」、「建築のおもしろさ」、「今、量子コンピュータが熱い!」、「貢献を引き出し、困難を克服するためには-組織目標の役割とリーダーシップについて-」、「大学では古典をこう読む:『枕草子』第一章段を例に」、「メディア経験をもとに、社会の手ごたえを感じてみる」、「高校生活と民法」、「スポーツから学ぶ経済学」、「大学で外国語を学ぶ意味-タイ語とタイ文化の事例から-」といったテーマで講義いただきました。

 生徒たちは、この15の講義から事前の希望調査により、2つの講義を受講しました。テーマは幅広く、生徒にとっては興味・関心のありそうなテーマが多くあり、どれを希望しようか悩んだことだろうと思います。

 一昨日の始業式では私から生徒たちに、「大学で学びたいことを見つけるのは難しいことだと思いますが、自らの興味・関心や夢・希望をもとに、様々な情報を収集し、実際の見学や体験を通してでも、見つける価値があると思います。自分のやりたいことを学ぶことができる、それを仕事とすることができることほど素晴らしいことはないと思います。」と話しをしました。その言葉をしっかりと受け止め、2つの講義ではありますが、大学で学ぶ「学問」のイメージを持つことで、自らの進路選択に生かしてもらいたいです。

 私もいくつかの講義に参加させていただきました。高校1・2年生を対象とした講義ということもあり、具体例を挙げながら、分かりやすく説明いただいていました。どうも、ありがとうございました。先生方の話しを聞きながら、生徒の様子を見ていました。大半の生徒が興味を持ってしっかりと聞いていましたが、一部、机に伏せて聞いているのかどうか分からない生徒もいました。もし、その生徒たちが高校の勉強とは関係ないから、すなわち、学ぶ目的が成績や大学受験のためになっているのならば、とても寂しい限りです。学ぶことの目的を再認識し、こうした講義こそ、興味・関心をもって楽しんでもらいたいところです。

 私にとっては参加させてもらったどの講義も、とても興味深い内容でした。特に、後半の時間帯の大半は、校長としての個人的関心から、「貢献を引き出し、困難を克服するためには-組織目標の役割とリーダーシップについて-」の講義に参加しました。「経営学」の視点における「組織として共通の目標を達成するためには」や「リーダーシップを発揮するとは」などについて学びました。改めて、私自身の考え方と大差ないことを確認できました。講義に参加し、「経営学」に興味を持ち、もっと深く学びたいという気持ちになりました。講師の方にお礼を言うとともに、大学の講義を受けに行きたいぐらいだと伝えたところです。

 1・2年生の皆さんは講義を受けて、興味・関心を持つことはできたでしょうか。まずはどんなことでも、受け入れようという気持ちで臨むことが重要だと思います。また、高校の「授業」と大学の「講義」の違いは認識できたでしょうか。高校の授業では各教科、既知の知識の習得・理解に重きが置かれていますが、大学では未知の内容を探究し、新たな価値を生み出すことが求められています。そのため、どの講座も生活に関連した身近な内容が多かったのかと思います。

 始業式でも話しをしましたが、自分自身がどういうことに興味・関心を抱くのかは、得意・不得意とは異なるものだと思います。また1年生はこれから2年生で行う課題研究のテーマを決定するにあたり、自分自身の興味・関心のある分野について見つめる必要があると思います。この取組をきっかけに、自分自身が「どんな『学問』に興味・関心を持ち、その内容を追究していきたいのか」を考えてもらえたら嬉しいです。

 最後になりましたが、お忙しい中、ご講義いただきました15名の先生方並びに「大学出張講義」の開催にご協力いただいた皆様方に感謝いたします。

  

  

  

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