10月2日(木)6限、岸和田中央ライオンズクラブと連携し、3年生を対象とした「献血セミナー」を岸高ホールにおいて実施しました。岸和田中央ライオンズクラブには、本校PTAが実施している「ランドセルギフトプロジェクト」にもご支援いただいています。「ランドセルギフトプロジェクト」は、アフガニスタンなどの学習機会に恵まれない子どもたちに、ランドセルや文房具を届ける取組であり、令和4年度から継続しています。
献血セミナーの実施にあたり、その岸和田中央ライオンズクラブの笹島会長から、今回の献血セミナー実施の目的や岸和田中央ライオンズクラブが行う奉仕活動などについて、話しがありました。
その後、大阪府赤十字血液センター南大阪事業所の方から、「身近にできるボランティア 命を救う献血について」というテーマでお話しいただきました。
最初に、世界192の国と地域で活動する組織「赤十字社」の目的、各国の血液型人口割合や生き物の血液型などについての話しがありました。魚はほぼA型、カエルはAB型であることなど初めて知りましたが、そもそも生き物の血液の血液型について考えたことなどありませんでした。生徒たちからも様々な意味での「どよめき」が起きていました。
その後、献血とは何か、献血が必要な理由、献血の流れなどについて話しがありました。献血とは何かにおいて、日本では1950~1960年代まで、献血をするとお金をもらえたという話しがありました。このことは知っていましたが、お金目的で1か月に何度も売血した人の血液による「輸血後肝炎」などの問題が発生したことで売血が禁止されたということは知りませんでした。それ以降、自らの血液を無償で提供する「献血」になったということです。
その際に話しのあった血液の成分が完全に回復するのには時間を要する、特に赤血球はかなりの期間が必要であるということに興味を持ちました。そのため、献血できる回数や期間が定められているのだということです。
献血が必要な理由としては、けがや病気の治療のために血液を必要とする患者さんがいること、血液は人工的には造れず、また長期保存できないこと、一人あたりの献血の回数や量には制限があることなどが伝えられました。したがって、一人でも多くの方に献血への協力を求めているということです。
これらの献血に関わる具体的な話しとして様々なデータが示されました。輸血によって救われる人が1日約3,000人いるということに驚きましたが、さらにその人たちを支えるためには約13,000人分の献血が必要であるという話しがありました。
また、疾病別の輸血の状況では、がんをはじめとした病気など、定期的に輸血が必要となる疾病が8割を超えるというデータが示されました。ちなみに交通事故などのケガによる輸血は2.3%でした。
そして、輸血を受ける人の年齢別割合は50歳以上の人が86.8%である一方、献血をする人は50歳以上の人が38.4%、30~49歳が43.5%に対して16~29歳が18.0%であるというデータが示されました。輸血を受ける人の大半が50歳以上というのは病気による輸血が8割を超えるという時点で納得できます。また、16~29歳が少ないということも何となく想像どおりだなと感じたところです。
こうした状況に献血の課題があり、高齢化社会がすすむ中、輸血に必要な血液が増えていく一方、献血する人たちは減っているのです。実際に2012年から2021年の10年間で10代~30代の献血者数は約31%減少しているというデータが示されました。しかもずっと右下がりであり、このような状況が続いていけば、とても深刻な事態となることが容易に予想できます。
献血者の動機について紹介されました。その約半数は、医療関係者、ボランティア関係者、そして実際に輸血を受けたことのある人などが身近にいる人だそうです。逆に、残りの半数は「自分の血液が役にたってほしいから」、「血液が不足していると聞いたから」などの『想像力』によって、献血は支えられているという話しがありました。このような話しを聞いて、より多くの人たちが人々の健康と命を守る医療の現場について関心を持つような取組が必要ではないかと感じたところです。
この後、4歳の子どもを小児がんで亡くした母親が綴った献血ルームの落書き帳への記述や献血の大切さを訴えたブログなどを元に作成された「ありがとうっていっぱい言わせて」というタイトルの動画が流されました。その子どもは輸血すると元気になれると、輸血のことを「アンパンマンのエキス」と呼んでいたそうです。献血が患者さんの命と健康を守っているのだということを改めて実感しました。
最後に、「毎日、血液を必要としている人がいます。献血で患者さんの命を救うことができます。大切な命を救うためには、一人ひとりの献血への理解と協力がとても大切です。」、また、「献血に協力するということは、自分が献血することだけではありません。献血を知ること、そして知ったことを誰かに伝えることも、献血への協力です。」という話しでしめくくられました。
この講義のあとに、進行役であった岸和田中央ライオンズクラブの担当から、献血記録の確認や献血の予約がウェブやアプリで可能となる「ラブラッド」について紹介がありました。献血記録には血液の検査結果なども含まれるということで、私自身はその点に関心を持ちました。
今回、受講した生徒たち一人ひとりに、岸和田中央ライオンズクラブから受講証が配付されました。その受講証を持って岸和田市八阪町にある大阪府赤十字血液センター南大阪事業所に献血に行くと、防災グッズとなる「カンパン」をもらえるそうです。進路が決定し、時間に余裕ができたら、一度、献血を体験してみてはどうでしょうか。カンパンをもらうことよりも、血液を必要としている人たちのために・・・。
「献血セミナー」の受講によって、生徒たちは「献血」に対する理解がすすんだことだと思います。そして改めて、健康で生活できることへの感謝の気持ちを持つことができたのではないかと思います。
私自身はこれまで数回、献血をしたことがありますが、「血液を必要としている人たちのために」のような意識はあまりなかったように思います。献血には69歳までという年齢制限があり、「65歳以上の献血については、献血される方の健康を考え、60~64歳の間に献血経験がある方に限ります。」との記述があったため、日頃から健康であることに感謝しながら、65歳になるまでには必ず献血に行ってこようと思いました。
最後になりましたが、ご講義いただいた大阪府赤十字血液センター南大阪事業所の担当者の方、そして、お忙しい中、ご来校いただいた岸和田中央ライオンズクラブの皆様方に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。