4月11日(金)15:45から岸高ホールにおいて、演劇部が新入生歓迎公演として、「re_ind」を上演しました。今回の脚本を書いた2年生の中野くんが校長室に来て、11日(金)に演劇部が「新入生歓迎公演」を行うことを教えてくれました。劇のタイトル「re_ind」を見て、「remind」?、どういう意味だろうと思いながら、当日を楽しみにしていました。来てくれたことに感謝します。
演劇部ではこれまでも多くの部員が脚本を書いています。生徒が脚本を書き、それを演じる生徒たちを見て、いつもその素晴らしい能力に感心させられています。また、ここ最近は、観客にどのようなことを伝えたく、その脚本を書いたのだろうと考えながら、劇を観るのを楽しみにしています。
ちなみに、今回のチラシには「あらすじ」として、「文化祭、クラスの出し物が全然決まらない。人生で三度しか無い高校の文化祭。それぞれのしたいことがぶつかってしまう。」と書いてありました。
キャストは3年生3名と2年生4名の7名で、全員がクラスメートという設定です。文化祭でのクラスの出し物を決めている場面では、ダンスがしたい、MV(ミュージックビデオ)がよいなど、なかなか決まらずに、取りまとめ役の実行委員が困り果てています。
最終的には、映画を撮ることになり、中野くん演じるカズが、不本意ながらも脚本と監督を任されることになりました。ところが、皆が任せたにもかかわらず、カズが書いた脚本をもとに映画の撮影を始めたところ、魔女が出てくるシーン、ダンスのシーンなど、それぞれ自分のイメージと異なるという理由から不満を言い始め、なかなか撮影は進行しません。皆が好き放題を言い始め、ついにカズは「好きにして」とその場から立ち去ってしまいます。
その後、2人、3人となった場面では、互いの考えや思いなどを伝えながら、分かりあったり、なおも分かりあえなかったりと、様々な人間模様が展開されていきました。一人ひとりの思いや感情がうまく表現されており、実際に起こっている現実世界を垣間見ているような、リアルなやり取りが繰り広げられました。相手のことを考え、思いやりを持ちながらも、自分勝手なところが出てしまうなど、うまく表現されているなと感心しました。
また、中野くんが部員一人ひとりのキャラクターをイメージしながら、今回の配役と重ねて脚本を書いているのだろうと思いますが、その役を演じる生徒たちも、完全にその役にはまっているところが役者だなと感動しました。
この騒動の結末としては、「始めに戻れるのであれば」ということで、一人ひとりのやりたいこと、なりたいものを十分に把握したうえで脚本を修整し、映画を撮影し直すことになりました。その後は、一人ひとりが活き活きとした表情で撮影がすすんだことは想像してもらえるかと思います。
今回の劇では、舞台上ではなく、客席と同じフロアに降りてきて演技するシーンがたくさんありました。場面展開の工夫もあるのでしょうが、より身近に演技を楽しむことができました。よかったと思います。
文化祭の出し物を決めるという身近なテーマであり、演じる生徒たちも高校生役ということで、とても現実感があり、親しみやすい劇でした。笑える場面もたくさんあり、期待どおりの楽しい劇でした。演劇部の皆さん、どうもありがとうございました。
さて、今回の劇を観て感じたことなどを書かせてもらいます。まずは人間関係の難しさです。劇中でも、「しんどくなって逃げてきた」や「人間関係はめんどくさい」というセリフがありました。特に、考え方や価値観が異なる人と関わることは、より気を遣い、しんどいことではあります。自分の考えや意思を貫くのか、相手の意見を尊重するのかも難しいと思います。ただ言えるのは、一人ひとり価値観が異なることを十分に認識したうえで、自分が納得できないことについては意見を言うべきなのだと思います。
次には、人間関係の難しさと同様に、「合意形成」を図ることの難しさです。たくさんの人がおり、それぞれ価値観が異なり、様々な意見を持つ中で、それらの意見を一つにまとめることは容易ではありません。意見が分かれれば難しいのは当然ですが、自分の意見を持っていながらも、合意形成を図る場面では意思表示をせずに、「意思決定」したことに対して、いざ始めると反対の意見を言いだしたり、従わなかったりということがあればより難しくなります。少なくとも、集団の中で、合意形成を図り意思決定したことに対しては、自らの意見と異なる場合でも従わなければならないと認識しておくことは大切だと思います。
そして最後に、「やり直す」ことに対する勇気の大切さです。この劇のように、うまくいかないと感じた時、また失敗したと感じた時などにも、原点に立ち返って考え、やり直してみることは大切だと思います。進み出したから今さら戻れないと考えてしまいがちですが、もし間違いや失敗に気づいたのならば、いち早くやり直す方が賢明であり、そうした勇気を持つことが大切だと思います。
劇の内容から外れてしまいましたが、今回の劇を観て、様々なことを考えました。劇を観た生徒の皆さんはどのようなことを感じ、考えたでしょうか。また、感想を共有できる機会があれば嬉しいです。
なお、今朝、中野くんにタイトル「re_ind」の意図を確認しました。すると、私が思いついた「remind」のほかに、「rewind」という言葉が出てきました。正直、知らなかったのですが、「巻き戻し」という意味でした。これのほうがしっくりきます。当初の疑問が解決しました。
今回、「新入生歓迎公演」として行われましたが、3年生部員3名の「引退公演」でもありました。3年生の音体部員がたくさん観に来てくれていましたが、正直、もっと多くの生徒たちに観に来てほしかったです。
さて、3年生部員の皆さん、お疲れ様でした。この2年間、皆さんが演じる劇をいくつも観せてもらいました。今でもそれぞれの劇の多くのシーンを思い出します。本校演劇部が全国大会出場を果たして以降も継続して地区大会を突破し、府大会への出場を果たしていることは凄いと感じています。しんどかったこともあると思いますが、貴重な経験ができたのではないかと思います。お疲れ様でした。
2年生部員の皆さんには、岸和田高校演劇部として、自分たちが楽しみながら演劇に取り組んでもらえれば嬉しいです。そして、今後演劇部に入る80期生の皆さんにも、先輩と一緒に楽しんでもらえたらと願っています。これからも演劇部の活躍に期待しています。