12月15日(水)の午後、ピースおおさかで行われた人権教育セミナーに出席し、大阪大学人間科学部の辻大介先生の講演を聞いてきました。
講演は「インターネットと人権侵害」というテーマで、まず、ネットいじめやヘイトスピーチ、差別情報の流布などインターネットやSNSによる人権問題の事例が紹介されましたした。
なぜこのような事象が生じるのかを辻先生は、
・金銭目的によるアクセス数の獲得のため内容や表現の過激化とゲートキーパー(それを制御する人や組織)の不在
・オンライン脱抑制(オンラインでの匿名性など抑制が効かなくなる傾向)
・偽情報を信じてしまうのは、当たり前を否定するような偽情報ほど信じられやすいこと(心理的免疫の欠如)や主張を支持する側に注目し、否定する情報を無視する傾向(確証バイアス)があるため
・偏った言説に影響されるのは、人には先有傾向(もともと持っている興味関心)を選ぼうとする傾向があり、加えてネットは知りたい情報のみを見る傾向が強いため、それがまるで共鳴箱のような働きをし増幅されるから
の点から解き明かされました。
また、民族的劣位があるとの主張による「古典的」レイシズムに対する教育はすでに行われてきているが、劣位にある人々が過剰な利益を得ているという主張による「現代的」レイシズムに対する教育はまだ十分ではないのではないかとの指摘もありました。