2学期の終業式

 12月24日、1・3年生を対象に、各教室において放送による終業式を行ないました。

 この日は2年生は修学旅行最終日で校長を含め学校にはおらず、校長の挨拶も放送で行ないました。

 校長式辞の骨子は以下のとおりです。

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 みなさんおはようございます。校長の平野です。この放送は放送室から話しているのではなく、すでに録音したものを流しています。今、私は修学旅行中で、2年生とともに九州の佐賀県にいてホテルをチェックアウトしている頃です。

 通常、7月に実施する修学旅行がこの時期に延期されたのも、新型コロナウイルス感染症による影響です。今年1年振り返っても、部活動や学校行事など、通常の学校生活への大きな影響がありました。皆さんの協力のおかげで学校を休業にすることなく本日を迎えられました。皆さんには感謝したいと思います。

 3年生は受験を間近に控え不安に思う人もいるかも知れません。また、学年に関係なく冬休みに入り友人と接する機会が少なくなることから、寂しい思いをする人もいるかもしれません。どうか、そんなときは「物事をポジティブにとらえる」よう努めてほしいと思います。「自分はまだできていない」ではなく「自分はここまでできている」と考える。何か失敗したときは、失敗ではなく、成長するチャンスが得られたと考えるなどです。そして、自分だけで抱え込まないでほかの人に相談してほしいと思います。

 さて、話は変わって先日大阪大学、人間科学部の辻大介先生の講演を聞く機会がありました。「インターネットと人権侵害」というテーマでした。その話の中から、フェイクニュースについて、3点、話をします。

 1つ目は、なぜフェイクニュースが広まるのかです。ネット上の情報の中には事実ではないフェイクニュースがあります。「嘘かもしれない」あるいは「この情報はいくら何でも冗談っぽい」と多くの人が思っていても、明確にそれが否定されることがあまりないので、フェイクニュースはどんどん広まっていくといいます。すなわち、ネットならフェイクニュースでも許されるという風土が生まれるわけです。

 2つ目は、そのような嘘かもしれないフェイクニュースをなぜ信じてしまうのかという話です。心理学の研究には、「みんなが当たり前だと思っていることを否定されると、その意見に説得されやすい」というデータがあるようです。例えば、「歯磨きは歯に良い」という当たり前のことを否定し、「歯磨きは実は歯に良くない」という情報を繰り返し、聞かされると人々はその主張を受け入れてしまいやすいのだそうです。この現象は、あたりまえの主張を否定することに対する免疫がないことによって説明されます。すなわち当たり前のことを否定するようなフェイクニュースを繰り返し見聞きすると、そのような主張に対する心理的免疫がないため、逆にすぐに信じてしまうのです。

 最後の3つ目は、なぜフェイクニュースに影響されてしまうのかです。新聞やテレビに比べ、ネットから得る情報は、その人の興味のある分野の情報や、自分と同じような主張する人の動画などに偏る傾向があります。すなわち似た内容の情報に繰り返し接する機会が多く、もともとその情報に共感しているわけですから、それがフェイクニュースであっても影響されてしまうのです。

 皆さんはこのような特性を知ったうえで、公的な機関が提供する情報など信頼度の高い情報を入手するなどしてフェイクニュースに惑わされないようにしてほしいと思います。

 それでは、有意義な冬休みとなるよう祈念し、18日後の1月11日の3学期始業式でお会いしましょう。