教育活動再開⑮

昨日、第75回入学式を行いました。

新型コロナウイルス対策である三密回避のため、新入生と教職員のみにより行われました。国歌斉唱、入学宣旨、校長式辞、入学生宣誓、担任紹介、校歌紹介など、来賓あいさつなどを除いてほぼ通常の内容での実施となりました。

<入学式のようす>

校長の式辞は以下の通りです。

 厳しい入試を突破され晴れて、豊高生となられた新入生の皆さん、おめでとうございます。教職員一同、心よりお祝いし、歓迎いたします。

 本校は大正十年に大阪府立第十三中学校として設立され、大正・昭和から平成・令和へと時代が移る中で、「質実剛健」、「協同進取」という建学の精神を受け継いでまいりました。来年2021年には、豊中高校は創立100周年を迎えます。皆さんは、まさにその年に本校に在籍するという機会に巡り合えたのです。

 ここで先ほど紹介した「質実剛健」と「協同進取」という言葉について、解説をします。

「質実剛健」の「質実」とは、飾り気がなく真面目であること。「剛健」とは、心が強く身体が健康であることを表しています。「協同進取」の「協同」とは、みんなが心と力を合わせることを意味し、「進取」とは、自分から進んでやり通すことを表します。

 要約すれば、「健康で、真面目に、そして強い意志を持ってみんなと協力しながら、何事に対しても進んでやろう」ということになります。

 この「質実剛健」「協同進取」という豊中高校のモットーを高校生活の中で実践するために、3点留意してほしいことを述べます。

 1点目は、「高い志」を持ってほしいということです。

 これまでは豊高に入ることが目標だった人も多いと思いますが、そのことは既に達成されたのです。現状に甘んじるのではなく、高い志をもって、次の目標を見つけ出してください。

 本校では通常の教科の授業に加えて、課題研究の授業を受けます。課題研究では、自分でテーマを探し、文献を読み、実験やアンケートなどの結果に基づいて結論を導き出し、論文にまとめるという作業をします。正解のない課題に取り組み自分で解決することによって、学ぶ楽しみを知ってほしいと期待しています。

 2点目は、「時間を大切にしてほしいということ」です。三年間の高校生活は長いようであっという間に過ぎてしまいます。時間を大切にするには、まずは時間を守ることです。大人の社会では、時間を守れない人は信頼されません。遅刻をしないということは言うまでもないことですが、学習を効果的に行うことや、学習と部活動との両立をするためには、自分で時間をコントロールすることが不可欠です。

 3点目は、「尊敬できる一生の友人・先輩・後輩や恩師と呼べるような先生を見つけ出すこと」です。実は、校長の私は、豊高出身で皆さんのちょうど四十三年先輩です。今でも豊高で出会った友人や先輩と会う機会があり、本当に長い付き合いをしています。高校での出会いは一生続くものです。また、高校時代に出会う先生方が、みなさんの生き方に影響を与えることもあります。豊高の先生方は、豊高生のために熱意をもって指導する努力を惜しみません。どうか一生の恩師となる先生とも出会ってください。

 以上3点、「高い志をもって課題研究などにチャレンジすること」「時間をコントロールして有効に使うこと」「一生の友人先輩・後輩や恩師を見つけ出すこと」をお願いします。

 結びになりますが、今年の春は、新型コロナウィルス感染防止のための臨時休業に始まりました。当たり前に行われるべき学校での生活ができなくなりました。イギリスの哲学者であり数学者でもあるバートランド・ラッセルの「幸福論」という著書の中に、「fruitful monotony」、直訳すると「実りのある単調さ」という言葉がでてきます。これは、ごくありふれた毎日の中にこそ大切なことがあるという意味です。普通に学校に来て普通に授業を受け、普通に部活動ができることの大切さをみなさんと共有したいと思います。以上を持って式辞とします。