大晦日

 ここ数年、暖冬が普通になっていたので、「今年の冬は厳冬」と早くから予報が出ていて、しかも暖かな日が結構続いていたので、急に寒くなってふるえていましたが、「クリスマス寒波」も大阪ではいうほどでもなく、今年最後の一週間は、お天気もよく過ごしやすかったように思います。生徒のみなさんは、冬休みの最初の一週間、どのように過ごしているでしょうか?

 私は東京弾丸日帰り出張の疲れをとりながら、学校のことを考えたり、ずっとほったらかしにしていた庭の掃除を少しずつしたりしていました。何より体調を整えるのがこの冬休みの第一の目標ですので、意識的にゆっくりする時間をとっていて、本を読んだりしています。友人が、「最近は大掃除ってしないらしいよ」と言っていたので、都合よくその言葉を頼りに、ほんと最低限の掃除しかしていません。そのかわり、積ん読になっていた文庫本を手に取りました。塩野七生さんの「誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ」です。その第一章の扉に次のような言葉がありました。

 「民族は興隆した後に必ず衰退を迎えるものであるということ。興隆と衰退の間に長い安定期を享受できた民族は、実にまれにしか存在しなかったのであった。」

 いつもなら、「なるほど」と思うくらいで、すっと読み進めるのですが、今はなぜかこの言葉が頭に残って、ふと考えたりしています。それほど、今年一年の日本は、世界は、確かな未来が見えなくなってしまっているように思います。決して悲観してはならないし、明るい希望もないわけではないのですが、「どうなるのだろう?」という不安や、無力感を感じることが多い一年でもあり、私たち教職員が学校という場でできることは何なのだろうということを考え悩み、焦燥感を覚えることも多い一年でした。そのたびにいつも思うことは、目の前にあることに真摯に向き合うこと、力を合わせることをあきらめないことです。好みはちがっても、考えはちがっても、それが組み合わさって、化学反応が起こって、思いもよらない力になることを私たちは知っています。新しい年もそのことを信じて、足下だけでなく、少し先を見て歩いていきたいと思います。

 2022年もあとわずかです。豊中高等学校に関わるすべての皆様、一年間ありがとうございました。心穏やかに、新しい年をお迎えください。