37期生 卒業式 ②

「学校長式辞」です。

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玄関横の「しだれ梅」も蕾から花が開きはじめ、新たな命を育む春の息吹を感じる今日の佳き日に、大阪府立東百舌鳥高等学校第三十七回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、大阪府教育委員会を代表して、大阪府教育委員会事務局指導主事藤田卓也様をはじめ、多数のご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜りました。卒業生はもとより本校教職員一同にとりましても心からの慶びであります。高いところからではございますが、心から厚く御礼を申し上げます。

 さて、ただ今、所定の課程を修められ卒業証書を授与された三〇〇名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本日こうしてめでたくこの日を迎えられたことに対して心からお祝い申し上げます。また、これまで成長を見守ってこられた保護者の皆様におかれましても、本日の晴れ姿をご覧になって、さぞかしお喜びになっておられるものと拝察し、心からお慶び申し上げます。

 卒業生の皆さんは今、過ぎてしまえば長いようで短かった三年間のたくさんの想い出とともに、輝かしい未来にむけて、夢と希望に胸ふくらませ、この場に臨んでいることと思います。

私事で恐縮ですが、本校へ着任してまだ一年ですが、行事やクラブ活動を通して皆さんとはすでに三年間を共に過ごしたような錯覚さえ覚えるほど、深い縁につながっているような感慨深いものがあります。今回の卒業証書は、僭越ながら、私が自ら筆を執って一枚一枚、気持ちを込めて皆さんの名前を書かせて頂きました。一人ひとりの写真を見ながら進路状況と重ね合わせて、その成長ぶりに思いを馳せながら書かせて頂いた時間は、本当に幸せな瞬間でした。

三十七期生の皆さんからは、私もたくさんの元気を頂きました。あらためて「ありがとう」と言わせてください。

 さて、これから皆さんが巣立っていく社会は、いったいどのような時代になっていくのでしょうか。二十一世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増してくる「知識基盤社会」の時代であると言われています。このような知識基盤社会化やグローバル化は、アイデアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で、異なる文化や文明との共存や国際協力の必要性を増大させています。このような状況にあって大切なことは、自己をしっかり見つめて見失わず、常に自己を磨く努力を怠らないことです。

アメリカのジョン・F・ケネディー元大統領の有名な就任演説の一節に次のような言葉があります。

「祖国アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがた自身が祖国アメリカのために何が出来るかを考えてください。」

And so my fellow Americans/ask not what your country can do for you/ask what you can do for your country.

もう一度、言います。「祖国アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがた自身が祖国アメリカのために何が出来るかを考えてください。」 

そこで、「祖国アメリカ」をいろいろな言葉に置き換えてみましょう。

「友達が何をしてくれるかではなく、自分が友達に何が出来るかを考えよう。」

「会社が何をしてくれるかではなく、自分が会社に何が出来るかを考えよう。」

いかがでしょうか。ブツブツと文句を言うだけで、なんでも他人のせいにするのを諌め、主体的に自らの途を切り拓いていくのだという言葉は、今の時代にも新鮮な響きを持っています。

 物事を成し遂げていく上で、苦難困難な壁に突き当たることはよくあることです。そこで、出来ない理由を挙げればきりがありません。出来ない理由を並べるのではなく、出来る方法はないかと考えることが大切です。

皆さんが、この学校でたくさん得たものを、単に知識だけではなく、いろいろな経験を通して「智慧」に変えていくことが大事です。失敗を恐れず、何事もチャレンジして、発見・驚き・感動を自信にげていってほしいと思います。

最後に、私が、最近出逢った人から大きな感銘を受けた話を紹介して結びにしたいと思います。それは、二十歳になる前のある女子大生が自分の病気と闘って、これからは「人のためになる生き方をしたい」と熱く語りかけてくれたことです。彼女は高校時代に大きな病気にかかりました。足のかかとの骨が溶けていく骨腫瘍という難病です。運動が大好きだった彼女にとっては大変なショックで、運動部を辞めざるを得なくなり、一時は自暴自棄にもなったそうです。体を動かすことはできなくても何か人のお役に立つことがしたい一心で、次に自分の活躍場所を選んだのが高校の生徒会活動でした。大学でも運動部のマネージャーとして部員の心の支えとなって活躍し、大学卒業後も会社勤めをしながらボランティア活動もしているそうです。闘病後も前向きな考え方で、見返りを求めず「人のためになる生き方をしたい」と、二十歳になる前になかなか言えるものではありません。「奪う愛」ではなく、「与える愛」の実践を積んで努力精進している姿に感動し、また感心し深く感銘を受けました。

先ほどのケネディー元大統領の言葉ではありませんが、「人が何をしてくれるかではなく、自分が人に何が出来るか」という考え方と共通しています。

皆さんも、本校での三ヶ年の業を終え、これからの未来社会に巣立たれるにあたり、「社会が何をしてくれるかではなく、自分が社会に何が出来るか」ということを「思いの力」で、問い続けてください。

まだまだ閉塞感に満ちたこの現状を、ただ非難するだけでなく、自分たちの力で、必ずや「新しい社会」を築くことが出来ると確信して、自分の出来るところからやってみてください。

一人ひとりの心の中に眠る「無限の可能性」「無限の力」を是非、目覚めさせてください。そのとき、未来は変わりはじめるのです。未来を創ろうとする、その「思いの力」によって。「思いの力」を信じましょう。「思いの力」が実際に仕事をしていきます。成功している自分の理想像を、「思いの力」で描いてみましょう。

皆さんには、未来を創造する力があります。皆さんの持てる若い力が、「より良い社会の担い手」として大いに期待されています。その自覚と未来を担う人間としての使命感を持って、輝かしい未来創造のために益々精進されることを心から祈念して、式辞と致します。

 平成27年3月3日

大阪府立東百舌鳥高等学校 校長 牧野浩二

 

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