39期生卒業式 ②

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平成28年度 第39回 卒業証書授与式 式辞   

 玄関横の「しだれ梅」も満開になり、新たな命を育む春の息吹を感じる今日の佳き日に、大阪府立東百舌鳥高等学校第三十九回卒業証書授与式を挙行するにあたりまして、大阪府教育委員会を代表して、大阪府教育センター指導主事 三木(みき) 満夫(みつお)様をはじめ、多数のご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜りました。卒業生はもとより本校教職員一同にとりましても心からの慶びであります。高いところからではございますが、心から厚く御礼を申し上げます。

 さて、ただ今、所定の課程を修められ卒業証書を授与された三四五名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本日こうしてめでたくこの日を迎えられたことに対して心からお祝い申し上げます。また、これまで成長を見守ってこられた保護者の皆様におかれましても、本日の晴れ姿をご覧になって、さぞかしお喜びになっておられるものと拝察し、心からお慶び申し上げます。

卒業生の皆さんは今、過ぎてしまえば長いようで短かった三年間のたくさんの想い出とともに、輝かしい未来にむけて、夢と希望に胸ふくらませ、この場に臨んでいることと思います。

私事で恐縮ですが、本校へは皆さんと一緒に着任し、学校祭や修学旅行などの行事やクラブ活動を通して、三年間を共に過ごしてきました。それだけに例年より、深い縁につながっているような感慨深いものがあります。今回の卒業証書も昨年に引き続き、僭越ながら、私が自ら筆を執って一枚一枚、気持ちを込めて皆さんの名前を書かせて頂きました。一人ひとりの写真を見ながら進路状況と重ね合わせて、その成長ぶりに思いを馳せながら書かせて頂いた時間は、本当に幸せな瞬間でした。

 さて、これから皆さんが巣立っていく社会は、いったいどのような時代になっていくのでしょうか。二十一世紀は、「グローバル化」「情報化」「多様化」が、かつてない速度で進行しています。情報伝達のスピードが飛躍的に高まり、技術が革新されたために、世界中のどこに居てもインターネット環境さえ整っていれば、世界中で起こっていることが、瞬時に情報共有することができます。

十年前に、十年後には実現するであろうと言われたテクノロジーは全部完成し、それ以上に進んでいます。実際に、運転手が手を放しても車が自動運転をし、パイロットが操縦しなくても飛行することができる技術はもうすでに現れています。さらに今世紀中には、ロボットが自分で会社を作って社長になる、そんな事態が起こると予想されています。日本の労働人口の49%が将来、人口知能やロボットで代替可能というレポートがあります。今の小学生の65%が、今はない職業に就くという研究者もいます。ジャンルの異なる仕事についてもやっていけるためには、それだけ多彩なスキルが必要です。私たちは、この変化の速度に対応できる能力、態度を身に付けなければ生きていけない時代になっているのです。このような状況にあって、大切なことは、自己をしっかり見つめて見失わず、常に自己を磨く努力を怠らないことです。

さて、話が変わりますが、アメリカのトランプ大統領が今年1月に就任しました。私は、歴代のアメリカの大統領の就任演説の中でも、やはり、アメリカのジョン・F・ケネディー元大統領の有名な就任演説の一節が一番印象に残っています。「祖国アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがた自身が祖国アメリカのために何が出来るかを考えてください。」

「And so my fellow Americans/ask not what your country can do for you/ask what you can do for your country.」

もう一度、言います。「祖国アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがた自身が祖国アメリカのために何が出来るかを考えてください。」 

そこで、「祖国アメリカ」をいろいろな言葉に置き換えてみましょう。

「友達が何をしてくれるかではなく、自分が友達に何が出来るかを考えよう。」

「会社が何をしてくれるかではなく、自分が会社に何が出来るかを考えよう。」

いかがでしょうか。ブツブツと文句を言うだけで、なんでも他人のせいにするのを諌め、主体的に自らの途を切り拓いていくのだという言葉は、今の時代にも新鮮な響きを持っています。

自分を輝かせるチャンスはみんな平等にあります。しかし、その結果は「努力精進」した者にこそ良い結果がもたらされます。努力を怠った者にはそれなりの結果しかありません。努力した者もそうでない者もすべて平等ではないのです。結果は公平にあるのです。原因があって結果がある。これを「縁起の理法」と言います。

「志を高く(Be ambitious )」持って、夢や目標を実現することにより、人生で何かを成し遂げることは大切です。その途上で、苦難困難な壁に突き当たることはよくあることです。そこで、出来ない理由を挙げればきりがありません。出来ない理由を並べるのではなく、出来る方法はないかと考えることが大切です。「決して諦めないで(Never give up)」「失敗を怖れず、何事にもチャレンジ」してみてください。成功の裏には数多くの失敗がつきものです。失敗から学んだ成功の種を見つけ、達成感や感動を自信に繋げていきましょう。

「努力は決して裏切らない」という言葉がありますが、いつも言っているように、皆さんは「やれば、出来る!(You can do it!)」力を持っています。「出来ないのは、やらないから!」です。「出来ないから、やらない!」ではなく「出来ないからこそ、やる!」のです。「無限の可能性」を信じて、努力を怠らず夢を形に実現していってください。

「校長ブログ」の中で、折に触れて、書いているのが、「今日の磨きが、明日の輝きに繋がる!」と「努力・忍耐・継続・感謝・報恩」という言葉です。「何事も、努力を惜しまず、苦難困難な時を乗り越え、継続していれば、必ず成就するものである。努力は決して裏切らない。物事が成功した時には、そこに皆が支えてくれたお蔭と感謝の気持ちが生まれ、その恩返しをすることでまた頑張れる。」という意味です。

皆さんが、この学校でたくさん得たものを、単に知識だけではなく、いろいろな経験を通して「智慧」に変えていくことが大事です。失敗を恐れず、何事もチャレンジして、発見・驚き・感動を自信に繋げていってほしいと思います。

最後に、私が、最近出逢った人から大きな感銘を受けた話を紹介して結びにしたいと思います。それは、二十歳になる前のある女子大生が自分の病気と闘って、これからは「人のためになる生き方をしたい」と熱く語りかけてくれたことです。彼女は高校時代に大きな病気にかかりました。足のかかとの骨が溶けていく骨腫瘍という難病です。運動が大好きだった彼女にとっては大変なショックで、運動部を辞めざるを得なくなり、一時は自暴自棄にもなったそうです。体を動かすことはできなくても何か人のお役に立つことがしたい一心で、次に自分の活躍場所を選んだのが高校の生徒会活動でした。大学でも運動部のマネージャーとして部員の心の支えとなって活躍し、大学卒業後は、海外で日本語教師としてボランティア活動をしているそうです。闘病後も前向きな考え方で、見返りを求めず「人のためになる生き方をしたい」と、二十歳になる前になかなか言えるものではありません。「奪う愛」ではなく、「与える愛」の実践を積んで努力精進している姿に感動し、また感心し深く感銘を受けました。先ほどのケネディー元大統領の言葉ではありませんが、「人が何をしてくれるかではなく、自分が人に何が出来るか」という考え方と共通しています。

三十九期生の皆さんが、本校での三ヶ年の業を終え、これからの未来社会に巣立たれるにあたり、「社会が何をしてくれるかではなく、自分が社会に何が出来るか」ということを問い続けてください。皆さんには、未来を創造する力があります。皆さんの持てる若い力が、「より良い社会の担い手」として大いに期待されています。その自覚と未来を担う人間としての使命感を持って、輝かしい未来創造のために益々精進されることを心から祈念して、式辞と致します。

「志を高く(Be ambitious )」「決して諦めないで(Never give up)」「やれば、出来る!(You can do it)」

平成二十九年二月二十八日

大阪府立東百舌鳥高等学校

校 長  牧 野 浩 二

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