高大接続改革の進捗状況について(4)

第4回目は、「大学入学者選抜改革」の「AO入試」「推薦入試」について。

先ず、実施時期についてもう一度確認します。東百舌鳥高生で言うと、43期生(現1年生)からが「大学入学者選抜改革」に、47期生(現小学6年生)からが「高等学校教育改革」(新学習指導要領による教育課程)に該当します。

以前もお話しいたしましたが、47期生(現小学6年生)の入試から学習指導要領の改訂が伴いますので、浪人生(46期生他)には「移行措置」(現行の学習指導要領からの出題)がなされます。

42期生の皆さんは浪人すれば新しい入試制度での受験となりますが、学習指導要領の改訂を伴っていませんので「移行措置」はありません。2年生の皆さんの受験は、そのような情勢のもと、「現役志向」が強くなることが想定されます。となると、3年生の皆さんは浪人すれば、その「現役志向」が強くなる1学年下の現役生と勝負することになります。連鎖的に、今の高校3年生にも「現役志向」が強くなることが予想されそうです。

「一般入試」(「一般選抜」)のみならず、「AO入試」「推薦入試」のあり方も見直されます。

文部科学省高等教育局大学振興課の山田泰造 大学入試室長は、『動き出した大学入学者選抜改革(リクルート カレッジマネジメント 207 / Nov. - Dec. 2017)』のなかで、「現在一部のAO・推薦入試において、学力不問と指摘されるような状況も生じているところ、このような事態を改善するため、2021年度実施要項からは、「総合型選抜」(AO入試)、「学校推薦型選抜」(推薦入試)のいずれにおいても、調査書等の出願書類だけではなく、各大学が実施する評価方法(例えば、小論文、プレゼンテーション、実技等)または共通テストのうち、少なくともいずれか一つの活用を必須化することとしている。また、総合型選抜(AO入試)については、本人の記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書等)を積極的に活用するとともに、学校推薦型選抜(推薦入試)では、学校長からの推薦書のなかで本人の学習歴や活動歴を踏まえた学力の3要素に関する評価を記載すること、及び大学が選抜に当たりこれらを活用することを必須化する。」としています(一部加筆修正しています)。

さらに、実施次期の面でも見直しが行われます。山田泰造 大学入試室長は、続けて、「特に、一部のAO・推薦入試において、早期合格による高等学校教育や本人の学習意欲への悪影響等の課題が指摘されていたところ、入学者選抜のプロセスについて基準を設定することとしている。具体的には、総合型選抜(AO入試)では、出願時期を9 月以降(現行8月以降)、合格発表時期を11月以降(現行設定無し)とするとともに、学校推薦型選抜(推薦入試)については、出願時期を11 月以降(現行通り)、合格発表時期を12月以降(現行11月以降)とする。(中略)上記のほか、特に12月以前の入学手続者に対して入学前教育を積極的に講ずることや、学校推薦型選抜(推薦入試)において、合格決定後も高等学校の指導の下で高大連携した取り組みを行うことが望ましいこと等についても、実施要項上明記する方針である。」(前掲論稿・一部加筆修正)

※ 参考資料として、昨年7月13日に文部科学省から発表された、「高大接続改革の進捗状況について(平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告)」から関係する事項を抜粋(一部加筆修正)します。

下記URLの文書p.41以降をご覧ください。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/__icsFiles/afieldfile/2017/07/18/1388089_002_1.pdf

一部のAO入試や推薦入試について、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を問わない性格のものとして受け取られ、本来の趣旨・目的に沿ったものとなっていない面があり、入学後の大学教育に円滑につなげられていない、ということが見直しの理由として挙げられています。

(1)「AO入試」(「総合型選抜」に名称変更)について

① 現行の実施要項にある「知識・技能の修得状況に過度に重点をおいた選抜とせず」との記載を削除し、調査書等の出願書類だけでなく、各大学が実施する評価方法等)又は「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用を必須化する。

「各大学が実施する評価方法等」とは、例えば、自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法(小論文等)、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績など、とされています。

② 志願者自らの意思による公募制という性格にかんがみ、本人の記載する資料(活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書等)を積極的に活用する。

③ 出願時期は9月以降(現行:8月)、合格発表時期は11月以降とする。

④ 改善策を講ずることを前提として、募集人員には制限を設けないこととする。

(2)「推薦入試」(「学校推薦型選抜」に名称変更)について

① 現行の実施要項にある「原則として学力検査を免除し」との記載を削除し、調査書・推薦書等の出願書類だけでなく、各大学が実施する評価方法()又は「大学入学共通テスト」のうち、少なくともいずれか一つの活用を必須化する。

「各大学が実施する評価方法等」とは、例えば、自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法(小論文等)、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績など、とされています。

② 校長からの推薦書の中で、本人の学習歴や活動歴を踏まえた「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に関する評価を記載すること、及び大学が選抜に当たりこれらを活用することを必須化する。

③ AO入試(「総合型選抜」)との関係も考慮し、出願時期は11月以降(現行通り)、合格発表時期は12月以降とする。

④ 現行と同様、「学部等の募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲」とする。(短大についてはこのルールを適用せず、現行と同様に、各短大が適切に定めることとする。)

※ AO入試・推薦入試を受験する人も「大学入学共通テスト」を意識しておく必要がありそうです。

東百舌鳥高校の授業で先生方がよく取り入れておられる「グループワーク」や「ペアワーク」などのアクティブラーニング型の授業で身につけた力が有効となります。

※7月13日に文部科学省から発表された「高大接続改革の進捗状況について(平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告)」には、調査書や推薦書、提出書類等の改善(見直し)についても記されています。

その話は明日のブログで、紹介させていただきます。

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